海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
友人や家族との雑談の中で、「まあ、可能性は低いだろうけど」と前置きしてから本題に入るような場面が、日常にはよくあります。
そんなときに便利な「a long shot」を、『モダンファミリー』シーズン2第20話の前半、ミッチェルがグロリアに何気ない仮定の話を切り出す場面から、一緒に見ていきましょう。
「a long shot」の意味とニュアンス
a long shot
意味:可能性が低いこと、見込み薄
a long shotは、成功や実現の可能性が低い試みや予想を指す口語表現です。遠くの的を狙う射撃や、勝つ見込みの薄い馬に賭ける競馬の用語がもとになっているとされ、「距離が長いほど命中率は下がる」という発想がそのまま意味に重なっています。挑戦を後押しする場面でも、悪い予想をやんわり打ち消す場面でも使え、「可能性は低いけれど」という前置きとして機能する柔軟な表現です。It’s a long shot. のように単独の名詞句として使われることが多く、文の主題そのものを指して「それは見込みが薄い」と述べる形が基本になります。
【ここがポイント!】
- 「a long shot」の核は、遠くの的ほど命中しにくいという距離のイメージ
- 挑戦を後押しする場面にも、悪い予想を打ち消す場面にも使える幅の広さ
- 「可能性は低いけれど」という前置きとして使うのがコツ
『モダンファミリー』S02E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジェイの家で、ミッチェルがグロリアに向けて「もし自分たちに何かあったら」という仮定の話を切り出します。深刻になりすぎないよう気をつかいながらも、グロリアの反応を確かめるように会話が進む場面です。
Mitchell: That’s sweet, but you realize it would only happen
(優しいね、でも、それが起こるとしたらってことなんだけど…)Gloria: I can’t wait!
(待ちきれないわ!)Mitchell: Hopefully, it’s a long shot.
(できれば、そうなる可能性は低いといいんだけど。)Gloria: Ay! A little girl!
(あら、女の子だなんて!)Mitchell: There would have to be a very tragic accident.
(そうなるには、すごく悲惨な事故が起きなきゃいけないんだよ。)Modern Family Season2 Episode20 (Someone to Watch Over Lily)
シーン解説と心理考察
ミッチェルが「優しいね、でも、それが起こるとしたらってことなんだけど」と仮定の話を切り出そうとするそばから、グロリアは最後まで聞かずに「待ちきれないわ!」と前のめりに反応してしまいます。ミッチェルは「できれば、そうなる可能性は低いといいんだけど」と付け加え、実際に起こる可能性が低いことを念のため釘を刺します。
グロリアが「女の子だなんて!」と無邪気に喜ぶ一方で、ミッチェルは「そうなるには、すごく悲惨な事故が起きなきゃいけないんだよ」と冷静に現実を突きつけます。深刻な仮定の話と、それを聞いた瞬間に喜んでしまうグロリアの温度差がコミカルに描かれている場面です。二人の会話のテンポの違いが、a long shotという一言の重みをかえって際立たせています。本来なら慎重に切り出すはずの話題が、グロリアの反応の速さによってあっという間に別の方向へ転がっていく流れも、このやり取りならではの面白さです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
遠く離れた的に向かって矢を放つ様子を思い浮かべてみましょう。的までの距離が長いほど命中率は下がるので、a long shotは「当たる確率が低い一発」というイメージがそのまま「見込み薄」の意味につながります。
ミッチェルが「そうなる可能性は低いといいんだけど」と付け加えた場面でも、遠くの的を狙うような不確かさがそのまま言葉の重みになっています。グロリアの前のめりな反応と、ミッチェルの冷静な釘刺しという対比を思い出すと、a long shotが持つ「望みは薄いが、ゼロではない」という絶妙な距離感も記憶に残りやすくなります。矢が的から外れて地面に落ちる様子まで思い浮かべておくと、「可能性はあるが、当てにはできない」という感覚がより実感を伴って残ります。
例文で覚える「a long shot」
可能性の低さを伝えるときに便利なa long shotを、3つの例文で確認していきましょう。
Applying to that university is a long shot, but it’s worth trying.
(あの大学に出願するのは可能性が低いけど、挑戦する価値はあるよ。)
進学の相談をする場面です。可能性が低いことを認めつつ、挑戦する価値を前向きに伝えています。
Getting the loan approved is a long shot given our credit history.
(この信用履歴だと、ローンの承認を得るのは見込み薄だ。)
ビジネスや金融の場面で使われる言い方です。given以下で理由を添えることで、見込みが薄い根拠を具体的に示しています。
A: Do you think we’ll win the case?
B: Honestly, it’s a long shot, but we’ll do our best.
(A:この裁判、勝てると思う?)
(B:正直、可能性は低いけど、最善を尽くすよ。)
仕事上の困難な案件について話す場面です。厳しい見通しを正直に伝えながらも、前向きな姿勢を崩していません。
あわせて覚えたい関連表現
a shot in the dark
(当てずっぽう、根拠のない推測)
a long shotが「可能性は低いが根拠はある試み」を指すのに対し、a shot in the darkは「ほとんど情報や根拠がない当てずっぽう」に重点が置かれ、手がかりの有無という点で性質が異なります。
slim chance
(わずかな可能性)
a long shotが名詞句として「試みや予想」そのものを指せるのに対し、slim chanceは「可能性」という抽象的な概念そのものを指す言い方です。
against the odds
(不利な状況にもかかわらず)
a long shotが挑戦や予想が「成功しにくい」ことを表すのに対し、against the oddsは不利な状況を乗り越えて成功したことを表す際によく使われます。
Note|射撃・競馬の用語から生まれたa long shot
a long shotという表現は、もともとスポーツの世界で使われていた言葉が日常会話に定着した例のひとつとされています。
shotという単語には「一発」「発砲」という意味があり、long shotは文字どおり「長い距離からの一発」を指していたとされています。遠くの的を正確に撃ち抜くのは難しく、距離が長くなるほど命中率は下がります。この「距離が長いほど当たりにくい」という発想が、競馬の世界にも取り入れられ、勝つ見込みの薄い馬に賭けることをlong shotと呼ぶようになったとされています。スポーツや賭け事の世界で生まれたこうした表現は、時間とともに一般の会話にも広がり、今では射撃や競馬と無関係な場面でも「可能性が低い試み」全般を指す言葉として使われています。距離や確率という具体的なイメージを持つ言葉が、抽象的な「見込み」の話にそのまま転用されている点は、英語の口語表現らしい発想の飛躍と言えます。
作中でミッチェルが口にした「Hopefully, it’s a long shot.」も、この「望ましくない出来事が起こる確率が低い」という意味で使われていました。遠くの的を狙うような不確かさのイメージを持っておくと、この一言の重みがより伝わってきます。
的までの距離が、そのまま可能性の高さと結びついている、と考えると覚えやすい表現です。近くの的なら誰でも当てられるけれど、遠くの的になるほど自信が持てなくなる、そんな体感的な距離のイメージを持っておくと、初めて聞いたときでも意味を推測しやすくなります。
まとめ|遠くの的を狙うような、見込みの薄さを一言で
a long shotは、成功や実現の可能性が低い試みや予想を指す口語表現です。
挑戦を後押しする場面でも、悪い予想を打ち消す場面でも使える柔軟さを持ち、「可能性は低いけれど」という前置きとして日常会話でよく使われます。ビジネスの場面でも、友人との雑談でも、幅広く活躍する表現です。
ミッチェルとグロリアのやり取りに見られた温度差も、この一言が持つ「望みは薄いが、ゼロではない」という絶妙な距離感をよく表していました。厳しい現実を伝えたいときも、冷たく突き放すのではなく、こうしたやわらかい言い回しに頼ってみたい場面は多いものです。可能性の低さを伝えたい場面で、この一言を覚えておくと役立ちます。


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