海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
思いどおりにならない状況を前にしても、うつむかずに前を向いていたいと思ったことはありませんか。
そんな気持ちを言い表す「head held high」を、『モダンファミリー』シーズン4第3話の後半、人生を「ドアの連なり」にたとえて語るジェイの言葉から、一緒に見ていきましょう。
「head held high」の意味とニュアンス
head held high
意味:胸を張って、堂々と、誇りを持って
head held highは、失敗や困難の中にあっても、恥じることなく、誇りや尊厳を保った態度で行動することを表す表現です。直訳は「高く掲げられた頭」で、headは「頭」、heldはholdの過去分詞で「掲げられた」、highは「高く」を表します。うつむかずに頭を持ち上げている姿が、堂々とした態度を表す様子と重なります。
この表現は、たいていwith one’s head held highの形で使われます。with your head held highなら「相手が胸を張って」、with her head held highなら「彼女が胸を張って」という意味で、oneの部分には、堂々とふるまう本人を表す所有格が入ります。「with + 名詞 + 過去分詞」という形で、その人がどんな状態で行動するのかを付け加える言い方です。
たとえば、結果がうまくいかなかったあとに会議室を出ていくとき、恥をかいたあとに人前へ戻るときなど、気持ちが揺らぎそうな場面で、態度としての誇りを保つことを表します。単に「元気」「明るい」という意味ではなく、その人の尊厳や誇りを保つ姿勢に重点があります。
日本語の「頭が高い」は、態度が横柄だという否定的な意味ですが、head held highの「頭を高く」は、誇りや尊厳を保つ肯定的な意味です。日本語の言葉の響きに引きずられずに、「胸を張る」と重ねて覚えるのがコツです。
【ここがポイント!】
- 「head held high」の核は、うつむかずに頭を持ち上げて、誇りを保つ姿のイメージ
- with one’s head held highの形で、「胸を張って」と行動の仕方を添える表現
- 「頭を高く」は日本語の「頭が高い」とは逆で、堂々とした肯定的な意味
『モダンファミリー』S04E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
対話の相手が台本に登場しない、ジェイの語りの場面です。ジェイは人生を「ドアが並んだもの」にたとえ、通るドアを選べるときも選べないときもあるが、それでも通り抜けなければならないと続けます。そして最後に、通り抜け方を2つ並べます。語りの4つの発言の流れと、2つの通り抜け方の対比に注目です。
Jay: I’ve always seen life like a series of doors.
(俺はずっと、人生をドアが並んだものみたいに見てきたんだ。)Jay: Sometimes you get to choose the door you go through, sometimes you don’t get that choice.
(通るドアを選べるときもあれば、選べないときもある。)Jay: But you still gotta walk through.
(それでも通り抜けなきゃならない。)Jay: So you can either go kicking and screaming Or walk through with your head held high.
(だから、じたばた暴れながら行くか、胸を張って通り抜けるかのどっちかだ。)Modern Family Season4 Episode3 (Snip)
シーン解説と心理考察
人生を「ドアの連なり」にたとえる切り出しから、この語りは始まります。「ずっとそう見てきた」という言い方から、ジェイが以前から持っている見方だと分かります。抽象的な人生観を、ドアという身近な物に置き換えて語る点が、この語りの特徴です。
続く「選べるときもあれば、選べないときもある」という一言は、人生が思いどおりにならない場面を認める言葉です。そのうえで「それでも通り抜けなきゃならない」と言い切り、選べなくても、前に進むこと自体は避けられないと述べます。ここまでの3つの発言は、短い文を重ねて、考えを順に積み上げています。
最後の発言で、話は「どう通り抜けるか」へ移ります。「じたばた暴れながら行く」と「胸を張って通り抜ける」という対比が置かれ、通るドアが同じでも、向き合う態度は選べる、という考え方が見えてきます。go kicking and screamingは、抵抗しながら進む様子を表し、head held highと真逆の姿勢です。
この語りは、このあと自分が通ろうとしているドアの話へと続いていきます。選べない状況に対して、どういう態度で向き合うかを決めるという考え方が、head held highという言い方に凝縮されています。短い言葉を積み重ねた語りの最後に、堂々とした姿勢を表す言葉が置かれている場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
うつむかずに、頭をまっすぐ持ち上げて歩いている人の姿を思い浮かべてみましょう。頭が高く保たれているので、視線は前を向き、堂々とした印象になります。head held highは、この姿勢がそのまま言葉になったような表現です。
「with + 頭 + held high」は、「頭が高く保たれた状態で」と直訳できます。この直訳が、日本語の「胸を張って」と自然に重なるので、意味を覚えやすくなります。
ジェイの語りでは、この姿勢が「じたばた暴れながら」の姿と並べて語られています。暴れながら進む人と、頭を持ち上げて進む人を、同じドアの前に並べて想像してみましょう。ドアは同じでも、通る人の姿がまったく違います。その違いを一言で言い分けているのが、head held highです。
例文で覚える「head held high」
head held highは、結果に関わらず堂々とふるまう場面で使えます。3つの例文で確認していきましょう。
She walked out of the meeting with her head held high, even though the deal fell through.
(契約は流れたが、彼女は胸を張って会議室を出ていった。)
商談が不調に終わったあとの様子を語るビジネスの場面です。even though …を添えると、結果が思わしくなかった状況の中でも誇りを保った、という対比が伝わります。
Whatever the result is, I want to leave the stage with my head held high.
(結果がどうであれ、胸を張って舞台を降りたい。)
本番を控えた気持ちを語る日常会話です。Whatever the result is,で始めることで、結果に左右されずに堂々と振る舞いたい思いを述べています。
A: Everyone saw me trip on the stairs.
B: Just smile and walk on with your head held high.
(A:階段でつまずいたのをみんなに見られたよ。)
(B:笑って堂々と歩いていきなよ。)
恥ずかしい失敗を励ます往復会話です。walk onと組み合わせると、そのまま歩き続ける様子が浮かびます。
あわせて覚えたい関連表現
hold one’s head high
(胸を張る、堂々とする)
head held highが付帯状況を表すwithと組み合わせる形であるのに対して、hold one’s head highは「胸を張る」という動作をそのまま表す形です。意味はほぼ同じです。
stand tall
(堂々と立つ)
stand tallは、姿勢や、信念を曲げずに立ち向かう態度を表します。head held highは、誇りや尊厳を保つ様子に焦点がある点が違います。
keep one’s chin up
(くじけない、元気を出す)
keep one’s chin upは、励ましの言葉として「めげないで」という意味で使われます。head held highは、本人の態度や誇りを述べる言い方である点が違います。
Note|with + 名詞 + 過去分詞で状態を添える形
ジェイの台詞のwalk through with your head held highには、動作にひとこと状態を添える形が使われています。この形を、head held highを出発点に整理してみましょう。
基本の型は、with + 名詞 + 過去分詞です。「名詞が〜された状態で」という意味で、主な動作のときの様子を付け加えます。She sat with her arms crossed.なら「腕を組んだ状態で座っていた」、He listened with his eyes closed.なら「目を閉じたまま聞いていた」です。名詞と過去分詞の間には、「〜される」という受け身の関係があります。腕は「組まれる」、目は「閉じられる」ので、過去分詞のcrossedやclosedが来ます。head held highも同じ仕組みで、頭が「高く掲げられる」ので、過去分詞のheldが使われます。名詞と動詞の間が「〜している」という関係のときは、現在分詞を使い、with tears running down her faceのように言います。
ジェイの台詞には、もうひとつ様子を表す形が含まれています。go kicking and screamingは、go + 現在分詞で、「暴れながら行く」という様子を表します。並べられたgo kicking and screamingとwalk through with your head held highは、どちらも動作の仕方を表す形です。ただ、前者は現在分詞、後者はwith + 名詞 + 過去分詞と、文法の作りが違います。
仕組みを見分けておけば、with … held highのような形が出てきたときに、何が何をしている状態なのかを、落ち着いて読み取れます。
まとめ|選べないドアの前で、胸を張って進む
head held highは、失敗や困難の中でも恥じることなく、誇りや尊厳を保って行動することを表す表現です。with one’s head held highの形で、「胸を張って」と行動の仕方を添えます。
結果がうまくいかなかったあとに会議室を出るときにも、恥ずかしい失敗を励ますときにも、同じ形が使えます。「with + 名詞 + 過去分詞」という仕組みを押さえておけば、arms crossedやeyes closedのような形にも応用できます。
選べないドアを前にして、暴れながら進むか、胸を張って進むかを並べたジェイの語りは、同じ状況でも態度は選べるという考えを、はっきりと残していました。


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