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手がかりは目の前にあるはずなのに、答えがなかなか浮かばず、考え込んでしまった経験はありませんか。
そんな場面で使える「dig a little deeper」を、『フレンズ』シーズン6第23話の前半、チャンドラーとの用事を知られたくないフィービーが「チャンドラーが怒っている」と言い出し、その理由をロス自身に考えさせるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「dig a little deeper」の意味とニュアンス
dig a little deeper
意味:もう少し掘り下げて考える、もう少し踏み込んで調べる
dig a little deeper は、表面に見えている情報だけで済ませず、あと一歩先まで考えたり調べたりするときの口語表現です。dig は「掘る」、deeper は「より深く」という意味で、地面を掘り進めると下にあるものが見つかるという動作が、そのまま「考えや調べを進めて答えに近づく」という意味に広がっています。
a little が入ると、大がかりな調査ではなく「あと少しだけ先まで」という控えめな響きになります。人に向けて言うときは、「もうちょっと考えてみて」「もう少し調べてみて」と、軽く背中を押す言い方になります。
使い方は大きく2つに分かれます。ひとつは、Let’s dig a little deeper. のように、自分たちに向けて「もう少し詳しく見よう」と促す使い方です。もうひとつは、今回のシーンのように、答えにたどり着けていない相手に向けて「もう少しよく考えて」と促す使い方です。dig deeper into the numbers のように、into のあとに調べる対象を続ける形もあります。
【ここがポイント!】
- 核は、表面から一歩先まで、掘り進めるように考えたり調べたりするイメージ
- a little が入ると、あと少しだけ先へ進む控えめな促しになる表現
- 自分たちに向けても、答えに届かない相手に向けても使える一言
『フレンズ』S06E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ロスが、先ほどチャンドラーとフィービーが自分たちの誘いに乗らなかった理由を尋ねると、フィービーは、チャンドラーがロスに怒っているのだと言い出します。チャンドラーとの本当の用事を伏せたいフィービーが、とっさに持ち出した口実で、怒っている理由はロスに考えさせます。ロスには心当たりがなく、フィービーはロスの職業を引き合いに出して、自分で探すよう促します。
Phoebe: He’s– He’s mad at you.
(彼は……彼はね、ロスに怒ってるのよ。)Ross: What? Why?
(えっ? なんで?)Phoebe: Oh, please. I think you know why.
(やだ、もう。理由なら自分でわかってると思うけど。)Ross: I can’t think of anything.
(俺には何も思い当たらないんだ。)Phoebe: Come on, Ross. You’re a paleontologist. Dig a little deeper.
(ほら、ロス。古生物学者でしょ。もう少し深く掘ってみなさいよ。)Friends Season6 Episode23(The One with the Ring)
シーン解説と心理考察
最初の一言は He’s– He’s mad at you. と、言いよどみを含んでいます。フィービーは、チャンドラーが怒っていて、その相手がロスだと言い出しますが、理由の説明には進みません。言いよどみは、その場で口実を組み立てている間として読めます。
ロスの What? Why? という短い聞き返しに、フィービーは Oh, please. I think you know why. と返します。Oh, please は、とぼけないで、という切り返しの言葉です。I think you know why と、理由を知っているような口ぶりですが、実際には、理由をロスの側から言わせるためのとぼけた返しになっています。これに対してロスは I can’t think of anything. と、思いつかないことをそのまま口にします。
そこで出てくるのが、Come on, Ross. You’re a paleontologist. Dig a little deeper. です。Come on は「ほら」と背中を押す呼びかけで、続く You’re a paleontologist. は、ロスの職業を持ち出しています。古生物学者と「掘る」という言葉の取り合わせが、この一言の言葉選びの見どころです。理由を探す作業を、ロスに任せる形になっています。
フィービーのこの言葉のあと、ロスは、ジョーイと一緒にチャンドラーをニックスの試合に誘わなかったことに思い当たります。数週間前の出来事を自分で思い出し、Wait a minute と切り出して、理由を口にします。フィービーは Do you think that’s something that he’d be mad at you for? と確かめ、ロスが I guess it could. と認めると、Well, then I think that’s it. と、ロスが思いついた理由をそのまま採り入れます。理由を出したのはロスで、フィービーはそれに乗っています。dig a little deeper という言葉が、ロスの記憶を動かした流れです。
この場面では、フィービー自身が怒っている理由を持ち合わせていない点も見どころです。dig a little deeper は、答えを知っている人が出すヒントではなく、理由を相手に探させて、出てきたものに乗るための言葉として働いています。友人同士の会話ならではの、軽い丸投げです。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
dig a little deeper は、スコップで地面を掘り進める様子を思い浮かべると覚えやすい表現です。表面の土をどけたところで手を止めず、あと少しだけ下まで掘ると、探していたものが出てきます。
フィービーの場面も、同じ動きに重なります。ロスは表面の記憶だけを探して、何も見つからないと答えていました。そこへ「もう少し深く掘って」と言われ、もう一段下にあった記憶が出てきます。スコップを持って、あと少しだけ先まで掘る。この動作を頭に置いておくと、考えや調べを進める場面で、この一言がすっと浮かびます。掘る深さは「あと少し」で十分だと考えると、a little の控えめな響きも、いっしょに記憶に残ります。
例文で覚える「dig a little deeper」
答えに近づくための「もう一歩」を表す dig a little deeper を、3つの例文で確認していきましょう。
Dig a little deeper, and you’ll find the real reason for the delay.
(もう少し掘り下げて調べれば、遅れの本当の理由が見つかるよ。)
トラブルの原因を探している場面です。and のあとに見つかるものを続けると、掘り下げた先に答えがあるという流れがはっきりします。
If we dig a little deeper into these numbers, we might see why sales dropped.
(この数字をもう少し詳しく調べれば、売り上げが落ちた理由が見えてくるかもしれない。)
会議で数字を分析する場面です。into のあとに調べる対象を置くと、何を掘り下げるのかが明確に伝わります。
A: I have no idea why she’s upset.
B: Come on, dig a little deeper. Think about what you said yesterday.
(A:彼女がなんで怒ってるのか全然わからないんだ。)
(B:ほら、もう少しよく考えてみなよ。昨日自分が言ったことを思い出してみて。)
友人が相手の気持ちに気づけずにいる会話です。dig a little deeper のあとに具体的な手がかりを続けると、どこを探せばいいのかが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
think it through
(じっくり考え抜く)
think it through は、最初から最後まで筋道を立てて考え抜く言い方です。dig a little deeper は、表面から一歩先へ進む動きに重点があります。
look into
(〜を調べる)
look into は、調べる対象をそのまま後ろに置く言い方です。dig a little deeper は、すでに始めている調べや考えを、もう少し先へ進める言い方になります。
get to the bottom of
(〜の真相を突き止める)
get to the bottom of は、底まで達して真相を突き止めるところまでを表します。dig a little deeper は、そこへ向かう途中の一歩にあたる言い方です。
Note|dig の後ろに語を足して、調べる向きと目的を言い分ける
今回のシーンで、フィービーは dig a little deeper と言いました。dig deeper は、後ろに語を足すと、何を調べるのか、何のために調べるのかまで言い分けられる形です。
まず、into のあとに調べる対象を置く形があります。dig deeper into the numbers なら「数字をもう少し詳しく調べる」、dig deeper into her story なら「彼女の話をもう少し詳しく聞いていく」という意味です。次に、to のあとに目的を置く形があります。dig deeper to find the cause なら「原因を見つけるために、もう少し掘り下げる」となります。さらに、a little や a bit を deeper の前に挟むと、調べる深さがやわらぎます。dig a little deeper は「あと少しだけ先まで」、dig deeper だけなら「もっと先まで」という響きの違いです。
フィービーの場面では、into も to もなく、dig a little deeper だけで言い切っています。探すものが「チャンドラーが怒っている理由」と、その場ですでに話題になっているため、対象や目的を足さなくても伝わる形です。
対象を足すか、目的を足すか、深さをやわらげるか。dig deeper は、足す語ひとつで言いたいことが変わる表現です。
まとめ|理由を相手に掘らせる、もう一歩の促し
dig a little deeper は、表面に見えていることで済ませず、あと一歩先まで考えたり調べたりするときの口語表現です。into で調べる対象、to で目的を足すと、掘り下げる向きまで言い分けられます。
フィービーは、チャンドラーとの本当の用事を伏せたまま、怒っている理由を、ロスの職業にちなんだ言葉でロス自身に探させました。答えの代わりに差し出した、掘り下げの促しです。
考えや調べが行き詰まったときに、あと少しだけ先へ進めるための一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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