海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
腹の立つことがあった翌日になって、「あの場にいたら、はっきり言ってやったのに」と悔しさがよみがえることがあります。実際には何も言えなかった怒りを、英語でどう表せばよいのか迷う場面です。
そんなときに使える「cuss someone out」を、『モダンファミリー』シーズン8第11話で、キャメロンがアレックスと言葉を交わす場面から、見ていきましょう。
「cuss someone out」の意味とニュアンス
cuss someone out
意味:〜を激しく罵る、〜をひどく怒鳴りつける
cuss someone out は、悪態や汚い言葉もまじえて、相手をひどく叱りつけることを表す口語表現です。cuss は「悪態をつく」を意味する動詞で、swear に近い言葉です。そこに out がつくと、腹の中にあるものを外へ出し切るような強さが加わります。
ここでの out は、「外へ」という方向に加えて、「言うべきことを全部」という徹底の意味を持っています。cuss だけなら「悪態をつく」にとどまりますが、cuss someone out と人を置くと、特定の相手に向かって激しく怒りをぶつける、という意味に変わります。
くだけた会話向きの言い方で、改まった場面や文書には合いません。友人や家族との会話で、怒りの強さを伝えたいときに使います。実際に怒鳴ったことを話すときにも、怒鳴りたかったけれど我慢したと話すときにも使える表現です。焦点は言葉の荒さにあり、怒りの理由までは表していません。
形としては、人を表す語を cuss と out の間にはさむのが基本です。目的語が代名詞のときは、cuss her out、cuss him out のように必ず間に入ります。名詞のときは、cuss the driver out と cuss out the driver のどちらの語順でも言えます。
【ここがポイント!】
- 「cuss someone out」の核は、悪態をまじえて相手へ怒りをぶつける動き
- 目的語が代名詞のときは、cuss her out のように cuss と out の間に入る形
- would have cussed her out の形で、実際にはしなかった「やってやるところだった」を表す使い方
『モダンファミリー』S08E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
キャメロンが、昨夜の出来事への怒りを口にし、居合わせたアレックスとやり取りをします。「cussed her out」は、You know what で始まるキャメロンの台詞の中にあります。
Cameron: You know what, I would have cussed her out last night, except the selfish hag left the moment her daughter’s dance was over. I hope there’s no rule in here about causing a commotion.
(いいかい、昨夜はあの女を怒鳴りつけてやるところだったんだ。ところが、身勝手な女は娘のダンスが終わった途端に帰っちゃってね。ここに、騒ぎを起こしちゃいけない決まりなんてないよね。)Alex: I mean, we didn’t really feel the need to put it up on a sign because, you know, civilization.
(別に、看板に出す必要は感じなかったのよ。ほら、文明社会なんだし。)Cameron: Well, I answer to a higher law.
(まあ、僕はもっと上の法に従うんだ。)Alex: Hey! Get back here! You don’t even know it’s her. You’re basing this off of the back of the head of someone you saw in the dark.
(ちょっと! 戻ってきて! 本人かどうかも分からないでしょ。暗い中で見た人の後頭部だけが根拠なんだから。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
シーン解説と心理考察
キャメロンの台詞は、昨夜の出来事を振り返る形で始まります。I would have cussed her out は、「怒鳴りつけていたところだ」という言い方で、実際には怒鳴っていないことを表しています。except 以下で、その女性が娘のダンスが終わった途端に帰ってしまったと理由を述べ、怒りをぶつける機会がなかったと悔しがる組み立てです。
続く I hope there’s no rule in here about causing a commotion. は、騒ぎを起こしてはいけない決まりがないか確かめる台詞です。これに対して、アレックスは「看板に出す必要は感じなかった、文明社会だから」と返します。騒ぎを起こさないのは当たり前なので、わざわざ書いて掲げるまでもない、という皮肉まじりの返しです。
キャメロンはそれに、I answer to a higher law. と大げさな言い回しで言い返します。字義どおりの信念というより、自分の怒りには従うべき別の法がある、と言い張る言い回しです。アレックスは Get back here! と呼び戻し、本人かどうかも分からないのに、暗い中で見た後頭部だけを根拠にしている、と指摘します。
怒りを抑えきれないキャメロンと、事実だけを淡々と並べて止めるアレックスの対比が、やり取りの軸です。cussed her out という強い言葉は、その温度差を生む出発点になっています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
cuss は悪態、out は「外へ出し切る」。この二つを、言葉の箱をひっくり返して、中身を相手に向かってぶちまける動きに重ねると、意味が頭に残ります。箱の中身は悪態まじりの怒りで、相手に向かって全部出てしまう、という像です。
形は、人を cuss と out の間に挟んだ cuss her out を、ひとかたまりで覚えておくと便利です。キャメロンの台詞のとおり、would have cussed her out と言えば、怒りを出し切るところだった、という意味になります。実際にぶちまけた話なら cussed her out、しなかった話なら would have cussed her out と、時制の形で区別できます。
例文で覚える「cuss someone out」
日常の会話、友人との確認、スポーツの話題を例に、cuss someone out の形を見ていきます。
I wanted to cuss her out, but I took a deep breath instead.
(彼女を怒鳴りつけたかったけれど、代わりに深呼吸しました。)
怒りをこらえた経験を話す例です。wanted to のあとに cuss her out を置くと、やらなかった気持ちを表せます。
A: Did you say anything to him?
B: No. I wanted to cuss him out, but I stayed calm.
(A:彼に何か言ったの?)
(B:ううん。怒鳴りつけたかったけど、落ち着いてたよ。)
トラブルのあとの確認です。代名詞の him が cuss と out の間に入る語順を確かめられます。
She cussed out the referee after the game.
(試合のあと、彼女は審判をひどく罵りました。)
スポーツの話題を伝える例です。目的語が名詞の referee なので、cussed out the referee と out の後ろに置く語順も使えます。
あわせて覚えたい関連表現
yell at someone
(〜に怒鳴る)
yell at someone は、声を荒らげて相手に向かって叫ぶことが中心で、悪態を含むとは限りません。cuss someone out は、悪態まじりで言葉が荒くなる点に重心があります。
tell someone off
(〜を叱りつける、〜に文句を言う)
tell someone off は、言いたいことをはっきり言って叱る表現です。声の大きさや言葉の荒さは決まっていません。cuss someone out のほうが、言葉の激しさが強く出ます。
chew someone out
(〜をこっぴどく叱る)
chew someone out は、失敗や不手際をきつく叱る言い方で、悪態を使うとは限りません。cuss someone out は、悪態という言葉の中身に焦点があります。
Note|代名詞は cuss と out の間に入る。would have cussed が表す「やらなかった怒り」
cuss someone out は、人を置く位置と、would have をつける形で、伝わる内容が変わります。キャメロンの台詞を手がかりに、語順と時制の形を整理します。
語順は、目的語が代名詞か名詞かで変わります。him、her、them のような代名詞は、cuss him out のように cuss と out の間に入ります。名詞の場合は、cuss the referee out でも、cuss out the referee でも通じます。受け身にすると、He got cussed out. のように、怒鳴られた側を主語にできます。
次に、would have cussed の部分です。would have に過去分詞を続ける形は、「実際にはしなかったこと」を述べるときの言い方です。I cussed her out. なら、実際に怒鳴った話になります。I would have cussed her out. なら、怒鳴ってはいない、という意味です。キャメロンの台詞では、last night という時と、except 以下の理由が続き、怒鳴らなかった事情までひと続きで言い切っています。
日本語にするときは、訳語の選び方も変わります。悪態の面を出したいときは「罵る」、声の大きさや勢いを出したいときは「怒鳴りつける」が合います。台詞では、「怒鳴りつけてやるところだった」と訳すと、実行できなかった悔しさが日本語にも残ります。
語順は代名詞が間に入るか、名詞が前後どちらでもよいか。時制は実際にやったか、やらなかったか。この二つを見分けると、cuss someone out の使い方がはっきりします。
まとめ|言えなかった怒りを、would have の形で語る
cuss someone out は、悪態まじりに相手をひどく叱りつけることを表す口語表現です。cuss と out の間に、人を表す語を置くのが基本で、代名詞のときは cuss her out の形になります。
日本語にするときは、「罵る」と「怒鳴りつける」を場面に合わせて選びます。would have cussed の形にすれば、実際にはしなかった怒りを言い表せます。くだけた会話向きなので、友人や家族との話題で使い分けると、場に合う言い方になります。
昨夜の怒りを大げさな言い回しで語るキャメロンと、暗がりで見た後頭部だけでは決められないと指摘するアレックス。二人のやり取りには、言えなかった怒りと、それを冷静に止める声が、cussed her out という一語を中心に並んでいます。


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