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『フレンズ』シーズン4第16話では、レイチェルが売り場の客ジョシュアに気持ちを伝えられないまま、エミリーの送別会という形でパーティーを開きます。その夜の二人の会話には、何度も「but」が出てきます。
「でも」にあたる but と however は、どちらも話の流れを逆へ向ける言葉です。二人のやりとりから、二つの語の違いと、but のあとに何が続くのかを見ていきます。
「She’s nice, but ~」ほめてから本題に移る but
売り場で、ジョシュアは前の晩にデートをしたと話します。それを聞いたレイチェルとの会話です。
Rachel: Well, congratulations. So, do you love her?
(へえ、おめでとう。それで、その人のこと好きなの?)
Joshua: No, no, no. She’s nice, but it just made me realize I’m just not ready to… to be dating, you know?
(いや、いや、いや。いい人だよ。でも、おかげで気づいたんだ。僕はまだ……デートする準備ができてないって。わかるだろ?)
Rachel: That’s, uh… that’s interesting.
(それは、えっと……興味深いわね。)
Friends Season4 Episode16(The One with the Fake Party)
She’s nice, but ~ は、まず相手のよいところを認めてから、but のあとで本当に言いたいことを続ける形です。前半で相手を下げずにおき、後半で話の向きを変えるので、断りや気持ちの整理を伝える場面で使われることの多い組み立てです。ここで but のあとに来るのは、「まだデートをする準備ができていない」という本題でした。
not ready to ~ は「まだ〜する準備ができていない」です。be dating と進行形にすることで、一度のデートではなく、誰かと付き合う状態に入ることを指しています。間に入る it just made me realize は「それで気づかされた」という意味で、デートそのものが気づくきっかけになったことが分かります。
レイチェルの That’s interesting. は、字面どおりなら「興味深い」ですが、返事に詰まったときに話を受け止めるだけの一言としても使われます。このあと、コートのポケットに入れるはずだったメモを、レイチェルは渡さずに終わります。そして仕事の外でジョシュアに会うために、パーティーに誘うことを思いつきます。
「That’s a fancy “but.”」but と however の違い
パーティーの途中、ジョシュアの上着を取りに入った寝室で、レイチェルはジョシュアを呼ぶためにパーティーを開いたと打ち明けます。するとジョシュアは、仕事でスーツを着ないのに6着も買ったのは、レイチェルに会いたかったからだと話し、レイチェルが好きだと伝えます。
Rachel: All this time I liked you and you liked me.
(ずっと私はあなたが好きで、あなたも私が好きだったなんて。)
Joshua: But…
(でも……)
Rachel: Don’t say “but.” No, no. But’s never good. Just let’s leave it at I like you and you like me.
(「でも」は言わないで。だめだめ。「でも」がいい話だったためしはないんだから。私はあなたが好きで、あなたは私が好き、ってところで止めておきましょ。)
Joshua: Okay. Uh, however…
(わかった。えっと、しかしながら……)
Rachel: Now, see, that’s a fancy “but.”
(ほら、それって気取った「でも」じゃない。)
Friends Season4 Episode16(The One with the Fake Party)
レイチェルが but を止めたのは、喜んだ直後の「でも」が、たいてい残念な続きを連れてくるからです。But’s never good. は but を名詞のように扱った言い方で、「『でも』に続く話にいいものはない」という意味になります。leave it at ~ は「〜のところで止めておく」で、話をそれ以上進めたくないときに使えます。
ジョシュアは but を言わない代わりに however と言い換えます。レイチェルはこれを fancy “but”、つまり「気取った but」と呼び、言葉を変えても中身は同じだと指摘します。
| 語 | 品詞 | 響き |
|---|---|---|
| but | 接続詞 | 会話で広く使う「でも」 |
| however | 副詞 | 改まった響きの「しかしながら」 |
however は書き言葉やスピーチで使われることが多く、くだけた会話の中では少し大げさに聞こえることがあります。この場面のおかしさは、まさにその響きの差にあります。
「I love that “but.”」同じ but が運ぶもの
レイチェルに止められても、ジョシュアは話を続けます。
Joshua: My marriage, like, just ended and I’m really not ready to get into anything yet.
(結婚生活が終わったばかりで、まだ何かを始める準備が本当にできてないんだ。)
Rachel: But…
(でも……)
Joshua: I’m sorry. I… I just need a little time.
(ごめん。僕は……少し時間がほしいだけなんだ。)
Friends Season4 Episode16(The One with the Fake Party)
get into anything の get into は、ここでは「関係を始める」の意味で、anything と言うことで相手を特定しない言い方になります。I just need a little time. は、相手を拒むのではなく、時間がほしいと伝える言い方です。レイチェルの But… は、今度は自分のほうから「でも」の続きを待つ一言です。
ジョシュアはそのまま帰りますが、このあと廊下に戻ってきます。準備ができていないと言ったことについて、レイチェルが「本当じゃないのね」と口にすると、ジョシュアは全部本当だと答えます。そのうえで、こう続けます。
Joshua: But…
(でも……)
Rachel: Oh, I love that “but.”
(ああ、その「でも」は大好き。)
Friends Season4 Episode16(The One with the Fake Party)
寝室ではあれほど嫌がった but が、ここでは全部本当だと認めたあとのジョシュアの口から出てきます。but は前の内容を打ち消す言葉ではなく、話の向きを変える目印です。どちらへ向くかは、その前に何が置かれているかで決まります。寝室では「好き」のあとに but が来たので悪い知らせになり、廊下では「準備ができていない」のあとに but が来たので良い知らせになりました。I love that ~ の that は、たった今聞いたその but を指しています。
まとめ|but と however で話の向きを読む
She’s nice, but ~ のようにほめてから本題を続ける but、改まった響きを持つ however、止めておきたいときの leave it at ~ を見てきました。but のあとに何が来るかに注意を向けると、相手の話の行き先を早めにつかめます。
同じ「でも」が場面によって正反対の知らせを運ぶ様子を、『フレンズ』でこれからも追いかけていきましょう。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事では、このパーティーの別の場面の英語を取り上げます。


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