海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン5第24話のレイチェルは、飛行機の中でロスにペンでいたずら書きをされた顔のまま、ラスベガスに着きます。化粧室で落とそうとしても跡は消えず、ロスはペンの会社に電話で相談します。
「落ちない」と「落とそうとした」は、英語では主語の立て方から変わります。come off と get it off を軸に、汚れや跡について話す英語を見ていきます。
「It won’t come off.」跡が「落ちない」と伝える言い方
ラスベガスに着いてチェックインに向かうところで、レイチェルはフィービーに顔のことを指摘されます。フィービーに言い返しかけたレイチェルは、手鏡で自分の顔を見て、ロスに向かってこう言います。
Rachel: What are you talking about, Pheebs? I don’t…
(何言ってるの、フィービー?私……)
Rachel: Oh, my God! You drew on me?
(うそ!私の顔に描いたの?)
Friends Season5 Episode24(The One in Vegas, Part 2)
draw on ~ は「〜の上に描く」で、紙ではなく人の顔や物の表面に描いたときにも使えます。You drew on me? の me は、ここでは「私の顔」のことです。
直前の I don’t… は、フィービーに言い返そうとした文が途中で止まった形です。手鏡で顔を見た時点で言葉が切れ、驚きの Oh, my God! に続いています。会話の英語では、言いかけた文を最後まで言わずに次の文へ移る場面が見られることがあります。
化粧室へ向かったレイチェルは、戻ってくると、ロスにこう告げます。
Rachel: It won’t come off.
(落ちないの。)
Ross: Oh, my God. Rach, are you sure?
(うそだろ。レイチェル、本当か?)
Rachel: No. Actually, I took it off and then I drew it back on.
(ううん。実は一回落として、また描き直したの。)
Friends Season5 Episode24(The One in Vegas, Part 2)
come off は「(汚れや跡が)取れる、はがれる」という意味で、主語は跡のほうです。そこに won’t が付くと、「どうやっても落ちない」と、跡が言うことを聞かないような響きになります。
ロスの Are you sure? に対するレイチェルの返事は、言葉どおりの意味ではありません。「一回落として描き直した」というありえない話で、落ちていないことを皮肉で返しています。ここで使われている take it off(取る)と draw it back on(また描く)は、off と on が対になった組です。
back on の back は「元の状態に戻して」という意味を加える語です。put it back on(また身に着ける)などと同じ形で、一度外したものをまた付けるときに使われます。服のしみなどには come out が使われることもあり、跡や汚れが「落ちる」を表す言い方は一つではありません。
「tried everything to get it off」電話で相談するときの英語
場面がホテルの部屋に移ると、レイチェルはまだ跡を落とそうとしていて、ロスはペンの会社に電話をかけています。
Ross: Yes, hello, I have a question. Um, I used your pen to draw on my friend’s face.
(あ、もしもし、質問があるんですが。えっと、そちらのペンで友達の顔に描いてしまって。)
Ross: A beard and a mustache.
(あごひげと口ひげです。)
Friends Season5 Episode24(The One in Vegas, Part 2)
I have a question. は、問い合わせの電話で用件に入る前の一言です。続けて何をしたかを説明し、相談の中身に進みます。
I used your pen to ~ の your pen は、電話の相手の会社が作ったペンのことです。問い合わせ先の商品を your ~ と呼ぶのは、電話でもメールでも使われることがある形です。日本語の「御社の」ほど改まった響きはなく、「そちらの」くらいの距離感です。
Ross: Makeup didn’t cover it and we’ve tried everything to get it off and nothing’s worked. What do we do?
(化粧でも隠れなくて、落とそうといろいろ試したんですが、どれもだめで。どうすればいいですか?)
Ross: Okay, thank you.
(わかりました、ありがとうございます。)
Ross: Yeah, it’s not coming off.
(うん、これは落ちないよ。)
Rachel: What? What else did he say?
(何?ほかに何て言ってたの?)
Ross: Um, he said he thought I was funny, so…
(えっと、俺のことおもしろいって言ってたよ、だから……)
Friends Season5 Episode24(The One in Vegas, Part 2)
get it off は「(人が)それを取る」で、主語は落とそうとする人です。作中の言い方を並べると、主語の違いがはっきりします。
| 言い方 | 主語 | 意味 |
|---|---|---|
| It won’t come off. | 跡 | どうしても落ちない |
| It’s not coming off. | 跡 | 落ちそうにない |
| We’ve tried everything to get it off. | 人 | 落とそうと手を尽くした |
| I took it off. | 人 | (自分で)落とした |
Makeup didn’t cover it の cover は「覆って隠す」で、落とせないなら隠そうとしたことが分かります。We’ve tried everything ~ and nothing’s worked. は、「あらゆることを試したが、どれも効かなかった」と困りごとを伝える組み立てで、What do we do? と続けて相手に助言を求めています。
we’ve tried と nothing’s worked はどちらも現在完了形で、「今の時点までに試したこと」と「今のところ効いていないこと」をまとめて伝えています。過去形の we tried でも意味は通じますが、現在完了形にすると、まだ解決していない今の状況に焦点が当たります。電話を終えるときの Okay, thank you. も、問い合わせでそのまま使える締めの一言です。
電話を切ったロスにレイチェルが What else did he say? と聞くと、返ってきたのは落とし方ではなく、電話の相手にほめられた話でした。質問への答えになっていない返事が、この場面のおかしさになっています。
まとめ|跡が落ちないときと、落とそうとしたときの英語
跡を主語にした It won’t come off. と、人を主語にした tried everything to get it off を中心に、draw on、Makeup didn’t cover it、What do we do? まで見てきました。主語をどちらに置くかで、困りごとの伝え方が変わります。
レイチェルとロスのやりとりを追いながら観ると、off と on の言い回しが耳に残りやすくなります。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事では、この回の別の場面の英語を取り上げています。


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