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『フレンズ』シーズン6第14話には、泣けないことを仲間にからかわれたチャンドラーが、泣ける話を探して本を読み、モニカに見つかる場面があります。理由を聞いたモニカは、泣けなくてもかまわないと、仮定の話を交えて言葉を重ねていきます。
相手を安心させる「気にしない」の言い方と、その言葉が本気だったのかを確かめる一言まで、二人の会話の順に見ていきます。
「I don’t care if you can’t cry」打ち明けた相手に返す言葉
モニカとチャンドラーの部屋で、チャンドラーは本を読んでいます。モニカが来ると隠そうとしますが、本はモニカの手に渡ります。
Monica: Why are you reading this? You hate this kind of stuff.
(なんでこんなの読んでるの?こういうの大嫌いでしょ。)
Chandler: Yeah, I know, but I figured I’d give it a shot.
(ああ、わかってる。でも試しにやってみようと思ってさ。)
Chandler: Maybe one of those stories will make me cry and then you wouldn’t think I was you know, all dead inside.
(この中の話のどれかで泣けたら、君にもう、ほら、心が死んでるなんて思われないだろ。)
Monica: Ah, that’s so sweet.
(まあ、なんて優しいの。)
Monica: But, Chandler, I don’t care if you can’t cry. I love you.
(でもね、チャンドラー、あなたが泣けなくても私は気にしない。愛してるわ。)
Chandler: Ah, that makes me feel so warm in my hollow tin chest.
(ああ、おかげで空っぽのブリキの胸が温まるよ。)
Friends Season6 Episode14(The One Where Chandler Can’t Cry)
I figured I’d give it a shot. は「試しにやってみようと思った」という意味で、figure は「〜だと考える」、give it a shot は「一度やってみる」です。普段はしないことをしている理由を、軽く打ち明けるときに使えます。チャンドラーは続けて、泣ける話があれば「心が死んでいる」と思われずに済むと理由を説明しています。
それを聞いたモニカは、まず That’s so sweet. で相手の気持ちを受け止めます。sweet は「甘い」ではなく「優しい」「思いやりがある」という意味です。そのうえで I don’t care if you can’t cry. と続けます。I don’t care if ~ は突き放した「どうでもいい」にもなりえますが、ここでは直後の I love you. と組み合わさり、「〜でもかまわない」と相手を受け入れる働きをしています。
チャンドラーの返しは、自分の胸を空っぽのブリキにたとえた冗談です。感情が表に出ない自分をあえて大げさに言い、照れを笑いに変えた返しとして読むことができます。
「Won’t matter to me」仮定を重ねて「かまわない」と伝える
このあと、結婚式の祭壇の前でもこんな調子だったら、という仮定が持ち出されます。モニカはそれにこう答えます。
Monica: I won’t care… because I know that you’ll be feeling it all in here.
(気にしないわ……だって、ここで全部感じてくれてるってわかってるもの。)
Friends Season6 Episode14(The One Where Chandler Can’t Cry)
I won’t care は「(その時が来ても)気にしない」と、will を使って先の話にも変わらないと約束する形です。in here は「この中で」という意味で、外に見えなくても気持ちは内側にある、と伝えていると読めます。
モニカは、赤ちゃんが生まれたときに泣かなくても「それが何?」と言い、さらに仮定を重ねていきます。
Monica: And if we take him to college and we come home and we see his empty room for the first time
(それに、子どもを大学に送り出して、家に帰ってきて、初めてあの子の空っぽの部屋を見て)
Monica: And you got nothing…
(それで何も感じなかったとしても……)
Monica: Won’t matter to me.
(私は気にしないわ。)
Chandler: Okay. Well, I won’t worry about this anymore then.
(わかった。じゃあ、もうこのことは気にしないことにするよ。)
Friends Season6 Episode14(The One Where Chandler Can’t Cry)
And if ~, and ~ と if の節を長くつなげ、最後に Won’t matter to me. で締める組み立てです。これは It won’t matter to me. の主語を省いた話し言葉の形で、「私にとっては問題にならない」という意味になります。ここでの you got nothing は「何も感じなかった」という意味で、具体的な場面をいくつ挙げても答えは同じ、という念押しになっています。
チャンドラーの I won’t worry about this anymore then. の then は「それなら」で、相手の言葉を受けて安心したと返す働きをしています。
「So you didn’t mean any of that?」本気だったのかを確かめる
モニカの仮定の話は、さらに先の人生の場面まで続きます。それでもチャンドラーが泣かないままでいると、今度はモニカがチャンドラーを責める流れになり、チャンドラーがこう聞き返します。
Chandler: So you didn’t mean any of that?
(じゃあ、今のは全部本気じゃなかったの?)
Monica: No, you robot!
(そうよ、このロボット!)
Friends Season6 Episode14(The One Where Chandler Can’t Cry)
mean には「本気で言う」という意味があり、You didn’t mean that? は「本気じゃなかったの?」と相手の真意を確かめる言い方です。any of that は「そのうちのどれも」で、直前までの言葉をまとめて指しています。文頭の So は「じゃあ」「ということは」と、相手の反応から結論を引き出すときに文頭に置かれます。
注意したいのは、否定の疑問文への答え方です。英語の No は「本気ではなかった」という内容への答えなので、日本語にすると「そうよ」に近くなります。日本語の「はい・いいえ」と逆になるため、聞き手が戸惑いやすいところです。
モニカの you robot は、感情が表に出ない相手を「ロボット」と呼ぶからかいとして使われています。冒頭の「心が死んでいる」、ブリキの胸のたとえと並べると、この回では泣けないことがいくつもの言い回しで表されているのが分かります。安心させる言葉のあとに、それが本気だったかを問い直す一言が来ることで、会話の向きがはっきりと変わります。
まとめ|恋人を安心させる英語
I figured I’d give it a shot で理由を打ち明け、I don’t care if you can’t cry や Won’t matter to me で「かまわない」と返し、So you didn’t mean any of that? で本気だったかを確かめる流れを見ました。否定の疑問文への No の答え方も押さえておくと安心です。
二人のやりとりの言葉の向きに注目しながら観ると、この場面の英語がより立体的に見えてきます。
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