海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン12 第14話から、「通報する」を表す turn someone in と report の違いを取り上げます。ハワードとバーナデットの家の裏庭デッキが無許可だと知ったシェルドンが、規則と友情のあいだで迷う筋に、この2つの表現が登場します。
同じ「通報する」でも、相手が友人か隣人かで選ばれる言葉が変わっています。誰に向けた言葉なのかに注目しながら、場面の順に見ていきます。
友人に向けた「turn them in」
隣家の投光器とバルコニーを見に来たシェルドンは、境界線の話をするうちに、ハワードとバーナデットの家のデッキが許可を取らずに作られたものだと知ります。作ったのはバーナデットの父です。シェルドンは2人を rule breakers(規則を破る人たち)と呼び、エイミーとのやり取りが続きます。
Amy: So, I guess you’re not gonna help them?
(じゃあ、2人を手伝う気はないのね?)Sheldon: Oh, I’m gonna help them– help them get on the right side of Johnny Law.
(いや、手伝うさ。法の正しい側に立てるようにね。)Amy: Oh, you can’t turn them in. The city’s gonna make them rip out all the work they’ve done and do it over. It would be the end of your friendship.
(ちょっと、通報なんてだめよ。市に、これまでの工事を全部壊してやり直させられるわ。友達付き合いもおしまいになるわよ。)Sheldon: What choice do I have? These are the rules.
(ほかにどうしろと? これが規則なんだ。)TBBT Season12 Episode14
turn someone in は、警察や当局に「〜を突き出す・引き渡す」という意味の句動詞です。一般に、違反を知っている人が身近な相手を当局に知らせる場面で使われることが多いとされます。エイミーが友情の終わりを持ち出して止めているように、ここでは「友人を売る」ような重さを帯びています。
Johnny Law は、法律や警察をくだけて擬人化した言い方です。シェルドンは「手伝う」という言葉を、通報するという意味にすり替えて返しています。
別の場面で、シェルドンは市の区画整理事務所を1人で訪れ、窓口のネイサンに should I turn them in?(通報すべきか?)と尋ねます。ここでも動詞は turn in です。ネイサンが建築基準はみんなの安全のためにあると説明すると、シェルドンはそれを「通報するしかない」という意味に受け取りますが、ネイサンは I did not say that.(そうは言っていません)と否定します。シェルドンの言い換えを窓口がきっぱり打ち消す、短いやり取りです。
隣人に向けた「report」と「snitch」
後の場面で、シェルドンはハワードとバーナデットの家を訪れます。通報するために市の窓口へ行ったと切り出したものの、But I didn’t do it. と実行しなかったことを伝えます。書類に記入したうえで、the unwritten rules of friendship(友情の不文律)のほうが市の規則より大事だと気づいたという説明です。続くのがこのやり取りです。
Sheldon: And you’ll be happy to know that, while I was there, I did look into your neighbor’s balcony, and it is encroaching on your property line. I had all this pent-up snitch energy, so I reported him hard.
(それと、聞けば喜ぶだろうが、窓口にいる間に君たちの隣人のバルコニーを調べたら、境界線を越えていた。告げ口したい気持ちが溜まっていたから、思いきり通報してやった。)Howard: What did they say?
(で、向こうは何て?)Sheldon: He’s going to have to remove it.
(彼はあれを撤去しなければならなくなる。)TBBT Season12 Episode14
report は「届け出る・報告する」が基本の意味で、違反や事故を当局や上司に知らせる場面に広く使われる、比較的中立な動詞です。シェルドンは友人については turn you in を実行せず、隣人については reported him と言っています。通報した相手は友人ではなく隣人だという点が、この筋の結末です。
snitch は「告げ口する(人)」を表すくだけた語で、一般に否定的な響きを持つとされます。pent-up(溜め込んだ)と組み合わせた pent-up snitch energy は、シェルドンらしい誇張の効いた言い方と言えます。この後、自分たちは法律を無視しているとシェルドンに指摘されたバーナデットは、the morally compromised guys(道徳的に妥協した側)と言い直しています。
| 表現 | 基本の意味 | 劇中での使われ方 |
|---|---|---|
| turn someone in | 当局に突き出す | 友人を通報するかどうかの迷い(実行せず) |
| report someone | 届け出る・報告する | 隣人のバルコニーを通報 |
| snitch | 告げ口(する) | 溜め込んだ「告げ口したい気持ち」 |
まとめ|通報の英語は相手との距離で選ぶ
今回は、身近な相手を当局に突き出す turn someone in、比較的中立に届け出る report、くだけた否定的な響きの snitch を見てきました。同じ「通報」でも、相手との関係によって言葉の重さが変わることが分かります。
規則を持ち出していたシェルドンが友情の不文律を選ぶ流れも、『ビッグバン★セオリー』らしい見どころです。
この回の英語表現は、ほかのコラムやフレーズ記事からもたどれます。


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