海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
薄暗い地下室や人気のない廊下に足を踏み入れた瞬間、理由もなく「うわ、なんかゾッとする」と鳥肌が立った経験はありませんか。
そんな感覚を言い表すのが「give someone the creeps」で、人やものが誰かを不気味な気持ちにさせることを表します。『フレンズ』シーズン5第6話の序盤、ワッフルの型を探しに薄暗い倉庫へ入ったレイチェルが、その場の空気に怖気づくシーンから、一緒に見ていきましょう。
「give someone the creeps」の意味とニュアンス
give someone the creeps
意味:(人やものが)誰かをぞっとさせる、気味悪がらせる
give someone the creeps は、何かが原因で「ゾクゾクする」「薄気味悪い」と感じさせることを表します。the creeps は「ぞっとする感じ」「鳥肌が立つ嫌な感覚」を指す名詞で、必ず複数形かつ the をつけて使うのが決まりです。
はっきりした恐怖というより、なんとなく落ち着かない、じわじわと不気味さが忍び寄ってくるような感覚を指すのが持ち味です。お化け屋敷のような明確な怖さよりも、「あの人、なんか苦手」「この場所、なんとなく嫌」といった漠然とした不快感を伝えるのに向いています。
主語は人でもものでも場所でも構いません。That guy gives me the creeps(あの人、なんかゾッとする)のように、対象が誰かを不気味がらせている、という構図で使われます。
【ここがポイント!】
- the creeps は「ぞっとする感じ」を表す、必ず複数形・the付きの名詞
- はっきりした恐怖ではなく、じわっと来る不気味さを表す一言
- 人・もの・場所を主語にして「〜がゾッとさせる」と組み立てるのがコツ
『フレンズ』S05E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
小さくて丸いワッフルを食べたいレイチェルのために、モニカが専用の型を探しに倉庫へ向かいます。ところが薄暗くて雑然としたその空間に、レイチェルはすっかり怖気づいてしまいます。
Rachel: Oh, God! Storage rooms give me the creeps.
(もう、いやだ!倉庫って本当にゾッとするのよね。)Monica: Come on, please, hurry up. Honey, please.
(ほら、お願いだから早く。ねえ、お願い。)Rachel: If you want the little, round waffles, you’ve got to wait till I find the little round waffle iron.
(小さくて丸いワッフルが食べたいなら、私が丸い型を見つけるまで待ってなさいよ。)Friends Season5 Episode6(The One With The Yeti)
シーン解説と心理考察
give me the creeps という一言に、この後の騒動の伏線がすべて詰まっています。レイチェルが感じている漠然とした不安が、そのまま「イエティ騒動」へとつながっていくからです。
この場面で興味深いのは、レイチェルの不快感がまだ具体的な対象を持っていない点です。何かが襲ってくるわけでも、誰かがいるわけでもなく、ただ「倉庫という空間」そのものが彼女をゾッとさせている。give someone the creeps が持つ「対象がぼんやりした不気味さ」というニュアンスが、この状況にぴったり重なっていると言えます。
この漠然とした恐怖心があるからこそ、直後に髭もじゃの男が現れたとき、レイチェルとモニカは冷静に確認する間もなくパニックに陥ります。倉庫が最初から creeps を与えていたという下地が、過剰反応の説得力を支えている、という構図が見どころです。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
give someone the creeps は、背中を虫が這い上がってくるような、あのゾワゾワした感覚を思い浮かべると覚えやすくなります。creep には「這う」という意味があり、その「じわじわ這い寄る」イメージが、名詞 creeps の不気味さの正体です。
このシーンのレイチェルが、薄暗い倉庫で首をすくめて身構えている姿を思い出してください。何かが背後から這い寄ってくるような、あの落ち着かない空気こそが the creeps です。ゾワッと鳥肌が立つ身体の感覚と、レイチェルの怖がりようをセットにすれば、意味が自然と体に染み込みます。
例文で覚える「give someone the creeps」
give someone the creeps は、人・もの・場所が漠然と不気味に感じられるときに使えます。3つの場面で見ていきましょう。
That old doll on the shelf gives me the creeps.
(棚にあるあの古い人形、なんかゾッとするんだよね。)
日常のふとした瞬間の一言です。人形という具体物を主語にして、「なんとなく苦手」という感覚を伝えています。
The way he keeps staring at everyone really gives people the creeps.
(彼があんなふうにみんなをじっと見てくるの、本当に気味悪がられてるよ。)
人の言動が周囲を不快にさせている場面です。give people the creeps と対象を複数にすることもできます。
A: Do you want to explore the basement?
B: No way. That place gives me the creeps.
(A:地下室、探検してみない?)
(B:絶対いや。あそこ、ゾッとするもん。)
誘いを断る往復会話です。場所を主語にして、行きたくない理由をひと言で表せます。
あわせて覚えたい関連表現
creep someone out
(人をぞっとさせる、ドン引きさせる)
give someone the creeps と同じ「不気味がらせる」を、動詞 creep を使って表した言い方です。よりくだけた響きで、若い世代の会話で頻繁に登場します。
send shivers down someone’s spine
(背筋を凍らせる、ゾクッとさせる)
「背骨に沿って震えを送る」という比喩表現です。give someone the creeps より恐怖の強度が高く、鮮烈な戦慄を表す点が違います。
give someone the chills
(ぞくぞくさせる)
the creeps とよく似た形で、寒気や震えを伴う感覚を表します。恐怖だけでなく感動で「鳥肌が立つ」場面にも使える点が、creeps との違いです。
Note|creep という言葉が持つ「這い寄る」感覚
give someone the creeps を覚えると、なぜ creep が「ぞっとする感じ」を意味するようになったのか、その成り立ちが気になってきます。
creep はもともと「這う、忍び寄る」という動作を表す動詞でした。虫や小動物が音もなく地面を這う様子、あるいは人が足音を忍ばせてそっと近づく様子を指す言葉です。この「知らないうちにじわじわ近づいてくる」という感覚が、やがて「得体の知れない不気味さ」へと意味を広げていきました。何かが背後から這い寄ってくるような落ち着かなさ――それが名詞 the creeps の核にあるイメージです。19世紀の英語ではすでに the creeps が「ぞっとする感じ」を表す慣用句として定着していたとされ、チャールズ・ディケンズの作品にもこの用法が見られると言われています。複数形で the がつくのは、「ぞくぞくする感覚が次々に押し寄せる」ような、ひとまとまりの身体反応として捉えられているためです。
このシーンでレイチェルが倉庫に感じているのも、まさにこの「這い寄る不気味さ」です。はっきりした脅威はないのに、空間そのものからじわじわと嫌な感覚が忍び寄ってくる。creep の原義を知っていると、give me the creeps の一言がぐっと立体的に響きます。
言葉の由来をたどると、フレーズの手触りが変わってきます。
まとめ|レイチェルの怖がりから学ぶ「ぞっとする」
give someone the creeps は、人やもの、場所が誰かを漠然と不気味な気持ちにさせることを表す表現です。the creeps という複数形・the付きの名詞が、「じわじわ這い寄る不快な感覚」を言い当てています。
この表現があると、はっきりした恐怖には至らない「なんとなく苦手」「なんか嫌な感じ」という微妙な感覚を、英語で自然に伝えられるようになります。
薄暗い倉庫で身構えるレイチェルの姿を思い出しながら、give someone the creeps を会話のレパートリーに加えてみてください。


コメント