「turn a blind eye」の意味と使い方|『メンタリスト』S01E07で学ぶ英会話

「turn a blind eye」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

気づいていたはずのことを、あえて見ないことにしてきた人の姿が静かに浮かび上がる。そういう瞬間が、ドラマには時々あります。

そんな場面で登場するのが「turn a blind eye」で、見て見ぬふりをする、という意味です。『メンタリスト』シーズン1第7話の中盤、被害者の自宅でジェーンが同居人のジェレミーに聞き込みをする場面に出てきます。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「turn a blind eye」の意味とニュアンス

turn a blind eye
意味:見て見ぬふりをする、あえて目をつぶる

blind eye は「見えないほうの目」です。その目を問題のほうへ向けるということは、見ようと思えば見えるのに、見ないことを選んでいるという意味になります。

大切なのは、うっかり気づかなかったのではないという点です。承知したうえで放置している。だからこそ、この表現には責任の所在がついて回ります。不正の黙認、規則の形骸化、身内の問題行動。本来なら指摘すべきものを見過ごす場面で使われるのは、そのためです。

対象を示すときは to または towards を伴い、turn a blind eye to the problem のように続けます。turn a blind eye to what was happening と節を置く形もよく見られます。

報道や論説でも頻繁に登場する、しっかりした慣用表現です。日常会話でも問題なく通じますが、くだけた場面では look the other way のほうが軽く響きます。

【ここがポイント!】

  • 核は「見えないほうの目を、わざわざ問題に向ける」という動作
  • 気づかなかったのではなく、見ないと決めているところが核心
  • 対象は to または towards でつなぐ。責任を問う文脈で登場しやすい一言

『メンタリスト』S01E07のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

被害者ローズマリーの自宅で、ジェーンとリズボンは同居していた写真家のジェレミーから話を聞きます。行方が分からない息子トラヴィスについて、ジェレミーは母親との喧嘩が原因で家を出たと説明しました。ところがジェーンは、家の中に残された痕跡から別の筋書きを組み立てています。相手の説明を頭から否定するのではなく、その前提だけを静かにずらしていきました。

Jeremy: I’m blessed.
(恵まれてるよ)

Jane: Or clever. You say that Travis left because he and his mom had a fight. Are you sure about that?
(それとも要領がいいのかな。トラヴィスが出ていったのは母親と喧嘩したからだと言ったね。それは確かかい)

Jeremy: Well, of course. I was there.
(もちろんだ。その場にいたんだから)

Jane: I think Mrs. Tennant turned a blind eye towards her son’s problems because he lost his dad. He didn’t leave because of her. He left because of you.
(テナント夫人は、息子が父親を亡くしたからこそ、彼の問題に目をつぶっていたんだと思う。彼が出ていったのは母親のせいじゃない。あなたのせいだ)

Jeremy: What are you talking about?
(何の話をしているんだ)

The Mentalist Season1 Episode7(Seeing Red)

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シーン解説と心理考察

質問の運び方が巧妙です。ジェーンはまず、ジェレミーが語った内容をそのまま繰り返します。喧嘩が原因で息子は出ていった。そのうえで、それは確かかと一度だけ確認する。相手に「もちろん」と言わせてから前提を崩しにかかる手順が表れています。

turn a blind eye という言い方の選び方にも意味があります。母親は息子の問題に気づかなかったのではなく、気づいたうえで見ないことを選んだ。ジェーンはそう言っています。父を亡くした子への負い目がその選択の背景にあった。母親を責める言葉のようでいて、実際には彼女の事情を汲んだ表現になっています。

そして、非難の矛先はそこから外れます。彼女のせいではない、あなたのせいだ。母親をかばう形をとりながら、逆側にいた人物を照らし出す。追い詰める前に一度かばってみせるという落差が、会話の温度を変えています。

答えに詰まったジェレミーの短い問い返しが、そのまま揺らぎの証拠として響く場面です。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

片方の目に眼帯をつけた人を思い浮かべてみましょう。目の前で困った出来事が起きています。その人は顔を動かして、あえて眼帯のついた側をそちらへ向けました。見えるほうの目は、別の方向を向いたままです。

turn は「向ける」、blind eye は「見えないほうの目」。見えない側を差し向けるという動作は、そのまま見ないと決めたという意思表示になります。うっかり見落としたのではなく、使える目のほうを使わないでいる。ここが核心です。

息子の問題に気づきながら向き合わずにいた母親の姿を、ジェーンはこの一語で言い当てました。眼帯側を向ける動作と結びつけておくと、意図的な黙認という含みまで一緒に思い出せます。

例文で覚える「turn a blind eye」

組織の黙認から家庭の話、個人の判断まで、場面を選ばず使える表現です。三つの例文で、その広さを見ていきましょう。

The manager turned a blind eye to the overtime problem.
(店長は残業の問題に目をつぶっていた)
職場の慣習について誰かと話す場面です。組織の黙認を語る、最も典型的な使い方になっています。報道でも頻出する形で、責任の所在を問うときに選ばれます。

Her parents turned a blind eye to her skipping school.
(両親は、彼女が学校をさぼっていることに目をつぶっていた)
家庭の事情を第三者に説明する場面です。劇中の状況にいちばん近い形と言えます。子どもの問題行動を親が黙認していた、という文脈でよく使われます。

A: You’re not going to report this?
B: I’ll turn a blind eye this time, but don’t let it happen again.
(A:これ、報告しないんですか?)
(B:今回は見なかったことにする。でも次はないよ。)
軽微な違反を一度だけ見逃す会話です。一人称で使うと、見逃す側が自分の判断を明言する形になります。but 以下で釘を刺すことで、見逃しが一回きりだとはっきり伝わります。

あわせて覚えたい関連表現

look the other way
(見て見ぬふりをする)
意味はほぼ同じで、より平易でくだけた言い方です。今回の表現は慣用句としての固さがあり、報道や論説で好まれます。こちらは視線をそらす動作からも来ており、口語での登場頻度が高い言い方です。

turn a deaf ear
(聞く耳を持たない)
同じ型を持つ姉妹表現で、こちらは訴えや忠告を無視する場面に使います。目か耳かで、無視する対象が変わります。He turned a deaf ear to our warnings. のように、忠告を無視された側が使うことが多くなります。

sweep something under the rug
(問題を隠してなかったことにする)
見ないだけでなく、他人の目からも見えないように隠す行為が加わります。今回の表現より、隠蔽の意図がはっきり出る言い方です。

Note|見ない目と、聞かない耳

turn a blind eye には、よく似た兄弟がいます。turn a deaf ear、「聞こえないほうの耳を向ける」という言い方です。二つは同じ型を共有していて、閉じる感覚が目か耳かという一点だけが違います。

blind eye の由来としてよく語られるのが、1801年のコペンハーゲンの海戦にまつわる逸話です。イギリス艦隊の指揮官だったネルソンは、上官から退却の信号旗を受け取ったものの、見えないほうの目に望遠鏡を当てて「信号など見えない」と言い、そのまま戦闘を続けて勝利した、という話です。ただしこの逸話には後世の脚色が含まれるという指摘も多く、表現そのものは逸話より前から使われていたとする説明も見られます。

turn a deaf ear のほうは、耳を貸さないという発想がさらに古くからあったとされ、聖書に近い言い回しが指摘されることもあります。どちらも由来をたどると諸説にぶつかりますが、共通しているのは、閉じるほうの感覚器を相手に差し向けるという発想です。

見えない目を向ける、聞こえない耳を向ける。持っていないのではなく、使わないほうを選んで差し出す。この構図が分かると、二つの表現がまとめて頭に入ります。

閉じた側を向けることも、ひとつの返事なのかもしれません。

まとめ|見ないと決めた人の背中

turn a blind eye は、見ようと思えば見えるものを、あえて見ないことにする態度を指す表現でした。気づかなかったのではなく、気づいたうえで放置している。だからこそ、責任の所在を問う場面で選ばれます。

職場の慣習について語るとき、家族の事情を説明するとき、あるいは自分が一度だけ見逃すと決めたとき。この一語があると、無視したと言うよりも輪郭のはっきりした言い方ができます。

父を亡くした息子の問題から目をそらし続けた母親と、その事情を汲みながら真相を言い当てたジェーン。誰かが見ないと決めた場所にこそ、物語の入口があった場面でした。

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