海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『BONES』シーズン5エピソード20では、研究所の同僚のホッジンスとアンジェラが、田舎町の留置場からしばらく出られなくなります。研究所に残ったメンバーも、いつもの人手や設備がそろわないまま仕事を進めることになります。
今回は、そんな「足りない状況」で交わされる言葉を起点に、make do と make the best of の違いを読み解きます。どちらも「何とかする」と訳されがちですが、目を向けている先が少し違うのが面白いところです。
「make the best of」は、状況を受け入れてできるだけよくする
判事が来るまで二人を出せないと告げた保安官に、ホッジンスがいつになるのかと食い下がる場面です。
Hodgins: Well, when will that be?
(で、それはいつになるんだよ?)Sheriff: Whenever one shows up. In the meantime, I suggest you two make the best of things, the best you can.
(判事が現れたときです。それまでは、お二人でできるだけうまくやってください。)BONES Season5 Episode20 (The Witch in the Wardrobe)
make the best of ~は、思いどおりにならない状況や条件をいったん受け入れて、その中でできるだけよい形にする、という意味の言い回しです。ここでの things は「今置かれている状況全体」を指しています。後ろの the best you can は「できる範囲で」と念を押す言い方で、保安官のまじめな人柄がにじみます。make the best of a bad situation という形でもよく使われるとされています。
その後、研究所との映像通話で、二人はまさにこの言葉どおりのふるまいを見せます。
Clark: Nice cell.
(いい独房ですね。)Hodgins: It’s not much, but we call it home.
(大したところじゃないけど、我が家ってことにしてるんだ。)Angela: Yeah, we’re thinking of redoing the kitchen.
(そう、キッチンのリフォームも考えてるところ。)BONES Season5 Episode20 (The Witch in the Wardrobe)
It’s not much, but ~は、自分の家や部屋を人に見せるときに謙遜して添える決まり文句です。それを留置場に当てはめ、アンジェラがリフォームの話で乗っかることで、不便な状況が冗談に変わっていきます。置かれた場所を嘆くより、受け入れて楽しむ方へ気持ちを向けるのが make the best of の感覚だと分かります。
「make do」は、足りないもので間に合わせる
一方の研究所では、二人が戻れないまま検証を進めることになり、カムとエジソンがこんな会話を交わします。
Clark: So… we’re going to do this without them.
(つまり……二人抜きでやるってことですね。)Cam: Well, they can coach us and consult, but, yeah, it’s you and me.
(まあ、指示や相談はしてもらえるけど、そう、あなたと私でやるのよ。)Clark: So you expect me to deal with dirt. Great.
(じゃあ、僕に土の分析をしろと。最高ですね。)BONES Season5 Episode20 (The Witch in the Wardrobe)
it’s you and meは「頼れるのはあなたと私だけ」と、手元の人員でやるしかないことを伝える言い方です。最後の Great. は文字どおりの「最高」ではなく、気の進まない役回りを引き受けるときの皮肉として読み取れます。
終盤、アンジェラの手を借りられないまま検証を進める場面で、ブレナンははっきりこう言います。
Brennan: Angela isn’t here for a computer re-creation, so we have to make do.
(アンジェラがいないから、コンピューターでの再現はできない。あるもので間に合わせるしかないわ。)BONES Season5 Episode20 (The Witch in the Wardrobe)
make doは、理想の道具や人がそろっていない中で、手持ちのもので済ませるという意味です。make do with what we have(あるもので済ませる)のように、with の後ろに手段を続ける形もよく使われます。気持ちの持ち方よりも、手段のやりくりに目が向いている表現と言えます。
| 表現 | 目を向けている先 | ニュアンス |
|---|---|---|
| make the best of ~ | 状況そのもの | 受け入れて、できるだけよくする |
| make do (with ~) | 手段・持ち物 | 足りないもので間に合わせる |
| It’s not much, but ~ | 自分の持ち物 | 謙遜しつつ前向きに見せる |
まとめ|状況に向き合うか、手段をやりくりするか
make the best of は不本意な状況そのものを受け入れて前向きに過ごすこと、make do は足りない手段で用を済ませることに重心があります。留置場の冗談と研究所の段取りを見比べると、同じ「何とかする」でも気持ちの置きどころが違うことが見えてきます。
いつもの顔ぶれがそろわない回だからこそ見える英語を、これからも『BONES』の中で探していきましょう。
同じエピソードの他のコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、この回の英語がより立体的に見えてきます。


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