海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
ちょっとした冗談のつもりで、「もう別々の道を行こうか」と軽口をたたいてしまった経験はありませんか。
そんな軽口にぴったりの「see other people」を、『フレンズ』シーズン5第23話の序盤、記念日旅行の行き先をめぐってダジャレを重ねるモニカとチャンドラーのやり取りから、一緒に見ていきましょう。
「see other people」の意味とニュアンス
see other people
意味:(恋人と)他の人とも付き合う、別々の道を行く
see other people は、交際相手に対して関係の見直しを切り出すときによく使われる婉曲表現です。ポイントは動詞の see で、英語では日常的な「会う」だけでなく「(異性として)付き合う」という意味でも使われます。つまり see other people を直訳すると「他の人たちに会う」ですが、実際の意味は「今の相手以外の人ともお付き合いを考える」というニュアンスになります。
break up や end the relationship のようにはっきり「別れる」と言い切る表現に比べると、see other people は関係を完全に断ち切るというよりも、選択肢を広げる・距離を置く、といった柔らかい響きを持っています。そのため、本気の別れ話を切り出すときにも、本シーンのように冗談めかして軽口として使うときにも、どちらの場面でも自然に使える便利さがあります。
似た響きの表現に go out with other people もありますが、see other people のほうが会話ではよく使われる、より定番のフレーズです。
【ここがポイント!】
- 核は「他の人にも会う」に見せかけて、実質は「付き合う相手を見直す」という婉曲表現
- break up より柔らかく、深刻にも冗談にもなる懐の広さが特徴
- 本気か軽口かは、直前直後のやり取りやトーンで見極めるのがコツ
『フレンズ』S05E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
モニカから贈られた記念日プレゼントの行き先がラスベガスだと分かり、盛り上がった二人は「記念日」を意味する anniversary にベガスやネバダをこじつけたダジャレを次々と繰り出していきます。その応酬の果てに see other people が飛び出す瞬間に注目です。
Monica: Plus, we get to have our own… “Anni-Vegas-ry.” “An-Nevada-versary”!
(しかも、私たちだけの”アニ・ベガサリー”も過ごせるってわけ。”アン・ネバダ・バーサリー”ってのもあるし!)Chandler: Yeah, I think we should see other people.
(ああ、僕たち、もう別々の人と付き合ったほうがいいと思う。)Monica: But we can go, right?
(でも、行くのはいいんだよね?)Chandler: Yes.
(うん。)Friends Season5 Episode23(The One in Vegas, Part 1)
シーン解説と心理考察
記念日プレゼントの中身がラスベガス行きの飛行機チケットだと分かった瞬間から、二人のダジャレ合戦は加速していきます。「PLANE-IVERSARY」に始まり「ANNI-VEGAS-RY」「AN-NEVADA-VERSARY」と、記念日を意味する言葉に旅先の地名を無理やりこじつけていく様子には、浮かれ気分がそのまま言葉遊びになだれ込んでいく空気があります。
その勢いの延長線上で飛び出すのが see other people という一言です。本来なら恋人同士の別れ話で使われる重い表現を、あまりにくだらないダジャレの応酬の末に「もう付き合っていられない」という冗談としてぶつける落差が、このやり取りのおかしみを支えています。直後に「でも行くのはいいんだよね?」と旅行の続行をあっさり確認し合っているところにも、本気の破局とは無縁のじゃれ合いであることが表れています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
see other people を覚えるコツは、「会う」を意味する see に、恋愛関係の距離感を測る目盛りが付いていると考えることです。ただ顔を合わせるだけの see ではなく、恋人という一対一の枠から一歩外に出て、他の選択肢にも目を向ける、という視野の広がりをイメージすると、この表現の輪郭がつかみやすくなります。
ダジャレの応酬に疲れて思わず口をついて出た see other people が、深刻な決別ではなく軽口として響いた本シーンのように、この表現は言葉そのものよりも、置かれた文脈と声のトーンで意味の重さが変わります。まずは「会う」の延長にある婉曲表現として、身近な位置に置いて覚えておきたいところです。
例文で覚える「see other people」
see other people は真剣な別れ話にも軽い冗談にも使える幅広さが持ち味です。日常・恋愛相談・冗談まじりのやり取りの3パターンで感覚をつかんでいきましょう。
I think we should start seeing other people.
(そろそろお互い、他の人とも付き合ったほうがいいと思う。)
恋人に関係の見直しを切り出す場面です。break up よりも柔らかい前置きとして使われています。
She told him she wanted to see other people before deciding to get married.
(彼女は結婚を決める前に、他の人とも付き合ってみたいと彼に伝えた。)
将来を決める前に選択肢を確かめたい、という文脈で使われる例です。
A: Are you guys still together?
B: No, we agreed to see other people a few months ago.
(A:二人はまだ付き合ってるの?)
(B:ううん、数か月前にお互い他の人と付き合おうって決めたんだ。)
友人に近況を聞かれて答える、カジュアルな会話の一場面です。
あわせて覚えたい関連表現
break up
(別れる)
関係を明確に終わらせることを表す直接的な表現です。see other people の婉曲さとは対照的に、はっきりと決別を告げるときに使われます。
take a break
(距離を置く、一時的に関係を休止する)
別れると決めたわけではなく、一時的に距離を置きたいときに使う表現です。see other people よりもさらに曖昧で、関係の行方を保留にするニュアンスがあります。
open relationship
(オープンな関係)
特定の相手を決めず複数の人と関係を持つことに、双方が合意した関係のあり方を指します。see other people が示す状態を、より制度的な言葉で表した表現です。
Note|see / date / go out with ―「付き合う」を表す3語の温度差
see other people の see は、日本語の「会う」とはずいぶん違う顔を持つ動詞です。英語には恋愛関係の「付き合う」を表す言い方がいくつかあり、それぞれ真剣度や距離感が微妙に違います。
まず see は、この記事のフレーズにもある通り、もっとも軽く曖昧な言い方です。”We’ve been seeing each other.”と言えば、まだ交際とはっきり呼べるかどうかの初期段階、あるいはカジュアルに会っている関係を指すことが多く、恋人同士という確定的な響きは薄めです。次に date は、実際にデートを重ねている段階を指す動詞で、see よりも一歩踏み込んだ、相手を意識した関係であることが伝わります。”We’ve been dating for two months.”のように使えば、交際が始まって間もない時期を表すのに自然です。そして go out with は「(特定の相手と)付き合っている」というもっとも明確な言い方で、”We’re going out.”と言えば、周囲にもはっきり恋人同士だと認識されている関係を意味します。
この温度差を踏まえると、see other people が本シーンでなぜ冗談として機能したのかも見えてきます。もっとも軽く曖昧な see を使ったことで、深刻な決別宣言というよりも、「まあ、他を見てみてもいいんじゃない」程度の軽さに聞こえる仕掛けになっているのです。
同じ「付き合う」でも、選ぶ動詞ひとつで関係の重みは変わります。
まとめ|「もう別々の道を」を一言で
see other people は、恋人関係の見直しを切り出すときに使われる、婉曲的な言い回しです。break up のようにはっきり別れを告げる表現とは違い、「他の人とも付き合う」という一歩引いた言い方で、選択肢を残しながら距離感を伝えられるのが特徴です。
本気の別れ話にも、本シーンのような軽口にも姿を変えるこの表現は、文脈とトーンしだいで印象が大きく変わります。深刻な相談から友人同士の軽いやり取りまで、幅広い場面で使える一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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