海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『メンタリスト』シーズン4第3話には、相手の腕前を認める台詞や、ねぎらいを受け流す台詞が、異なる場面に散らばっています。同じ「ほめる」でも、程度を表す語が少し変わるだけで、響きが大きく変わります。短い台詞の中に、その違いが詰まっています。
pretty、just、seriously といった程度の語に注目しながら、認め方と受け流し方を順に見ていきます。
「You’re pretty good. I’ll give you that.」全面降伏しない認め方
最初の場面では、州有林が広がる方角を示す台詞が出てきます。It’s beautiful, huh? の huh? は、文末に添えて同意を求める軽い聞き方です。Nothing but ~ は「〜しかない」という意味で、見渡す限りの景色を言い表しています。
— It’s beautiful, huh?
(きれいだよね。)
— It’s all state forests that way. Nothing but bears and deer and elk.
(あっちはずっと州有林だ。クマとシカとエルクしかいない。)
— You’re pretty good. I’ll give you that.
(かなり上手だ。そこは認めるよ。)
— Not great. Just… pretty good.
(見事、とまではいかない。ただ……かなり上手だ。)
— What can I say? It’s a gift.
(何と言えばいい?天賦の才だよ。)
The Mentalist Season4 Episode3 (Pretty Red Balloon)
pretty は、形容詞の前に置くと「かなり」「相当」という意味を足す副詞です。pretty good は十分に評価している表現ですが、great と並べると一段下の評価です。この場面では、Not great. と言い直す形になっています。認めはするものの、手放しでは認めない、という距離の取り方が言葉に表れています。
たとえば The food was pretty good. と言えば、「料理はなかなかよかった」という評価になります。great や amazing と言い切らないぶん、控えめなほめ方になるのが pretty good の特徴です。
I’ll give you that. は「その点は認める」という意味で、ほかの点まで認めるわけではないという含みが出ます。これに対して What can I say? は「何と言えばいいのか」とおどけて問い返す形で、続く It’s a gift. の gift は、贈り物ではなく「生まれつきの才能」の意味です。
「Well done anyway.」と「Another day, another dollar.」ねぎらいを軽く返す
次は、別の場面でのねぎらいのやり取りです。
— Hey, Grace, well done anyway. You took down a seriously bad guy.
(ねえ、グレース、それでもよくやった。相当ひどい悪党を倒したんだ。)
— Another day, another dollar.
(一日働いて一ドル稼ぐ、日常の仕事だよ。)
The Mentalist Season4 Episode3 (Pretty Red Balloon)
呼びかけの Hey, Grace, のように、名前を添えて話しかける形がまず目に入ります。名前で呼ぶことで、ねぎらいが特定の相手に向けた言葉になります。
well done は「よくやった」というほめ言葉で、anyway を添えると「それでも」「とにかく」というつなぎが加わります。別の事情があってもその点は評価する、という含みが生まれる語です。
seriously は、後ろの bad guy を強める副詞です。pretty が「かなり」なら、seriously はさらに強く「本当にひどい」と言う響きになります。took down は、ここでは相手を倒した、という意味で使われています。
返事の Another day, another dollar. は、毎日働いて少しずつ稼ぐ、という日常の仕事ぶりを表す言い回しとして知られています。ねぎらいを大げさに受け取らず、当たり前のこととして受け流す形で、It’s a gift. のように才能を口にする返し方とは向きが違います。
形の面では、another day の次に another dollar と同じ型を重ねており、「日」と「ドル」が一対になるように並べた言い回しです。短い二つの名詞句だけで、動詞を使わずに言い切れる点も特徴です。
「Just a good guess.」と「That’s it?」小さく片づける言い方
三つ目は、どうして分かったのかと聞かれたあとのやり取りです。
— That’s it?
(それだけ?)
— Just a good guess.
(ただの、いい当て推量だよ。)
The Mentalist Season4 Episode3 (Pretty Red Balloon)
guess は「推測」「当て推量」で、good guess は「いい線をいった推測」です。たとえば lucky guess と言えば「まぐれ当たり」に近い響きになり、good guess は運だけではない含みが残る言い方です。ここでは just が前に付き、「ただの」「それだけの」と、大したことではないように小さく片づけています。
これに先立つ That’s it? は、「それだけ?」と拍子抜けした調子で聞き返す言い方です。答えの軽さを、短い言葉で確かめています。It’s a gift. が自分の力として口にする言い方だったのに対し、Just a good guess. は力を小さく見せる方向の言い方で、才能を前に出すか小さく見せるかで、向きが反対になっています。
ここまでに出てきた程度の語を、働きでまとめると次のようになります。
| 語 | 作中の例 | 働き |
|---|---|---|
| pretty | pretty good | 評価を「かなり」に引き上げる |
| just | Just… pretty good. / Just a good guess. | 「それだけ」と控えめに片づける |
| seriously | seriously bad guy | 後ろの語を強める |
| anyway | well done anyway | 「それでも」とつないで評価する |
まとめ|程度の語で変わる、認め方と受け流し方
pretty で評価を引き上げ、just で小さく片づけ、seriously で強める。程度の語を入れ替えるだけで、同じ「ほめる」でも響きが変わる様子が見えてきます。
『メンタリスト』を観ながら、次はどんな程度の語が出てくるのかを探してみるのも、楽しみ方のひとつです。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、場面全体の英語がより立体的に見えてきます。


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