海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
自分で作ったものや見つけたものを、「今これがいちばん来てるんだよ」と人に勧めたくなる瞬間があります。
そんな売り込みの決め台詞にぴったりの「all the rage」を、『モダンファミリー』シーズン10第2話の前半、ジェイがフィルに自作のミント・ジェイレップを勧めるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「all the rage」の意味とニュアンス
all the rage
意味:(今)大流行して、みんなが夢中になって
all the rageは、ある物や行動が、いまの時期に広く熱狂的に受け入れられている状態を表す口語表現です。新しい商品、ファッション、食べ物、遊びなど、人が競うように手に取る対象について使います。単に「人気がある」と述べるのではなく、「今まさにブーム」という勢いと時期の感覚が乗る点が特徴です。
形は、be all the rageが基本です。現在のブームならis all the rage、過去の流行を振り返るならwas all the rage、流行り始めた変化を言うならbecome all the rageと、beの部分を入れ替えて使い分けます。過去形のwasにすると、「かつての流行」として語る言い方になります。範囲を示したいときは、in Tokyoのように場所を、among teenagersのように集団を後ろに添えます。
文の中での働きは、主語について「どういう状態か」を述べる述語です。the latest craze(最新のブーム)のように名詞として置くのではなく、Mint Jay-leps are all the rage.のように「〜は大流行だ」という文の形で使います。勧める側が言えば「今これが一番だ」という売り込みの響きになり、第三者が言えば「今はこれが流行っている」という状況の説明になります。
【ここがポイント!】
- 「all the rage」の核は、周り中が同じものに熱を上げている「今のブーム」のイメージ
- is・was・becomeを入れ替えて、現在・過去・変化を言い分けられる
- 勧める側が使えば売り込み、第三者が使えば流行の状況説明になる一言
『モダンファミリー』S10E02のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジェイが、フィルにミント・ジェイレップを勧める場面です。ジェイは自信たっぷりに売り込みますが、フィルはその呼び名を茶化します。ジェイが名前の由来を説明する羽目になる流れに注目です。
Jay: No, no, no, no, you’re gonna love it. Mint Jay-leps are all the rage.
(いやいやいやいや、きっと気に入るって。ミント・ジェイレップは大流行なんだぞ。)Phil: Oh, you keep saying “Jay-leps.”
(ああ、さっきから「ジェイレップ」って言ってるな。)Jay: Yeah, well I made juleps, and and and my name’s Jay, so I call them “Jay-leps.”
(ああ、まあ、俺がジュレップを作って、それで、それで、俺の名前がジェイだから、「ジェイレップ」って呼んでるんだ。)Phil: No, I get it.
(いや、わかってるよ。)Jay: It’s just a fun thing.
(ちょっとした遊びだよ。)Modern Family Season10 Episode2 (Kiss and Tell)
シーン解説と心理考察
ジェイは「いやいやいやいや」と同じ言葉を重ねて、「きっと気に入るって」と言い切ります。そのうえで続けたMint Jay-leps are all the rage.は、根拠を並べる説明ではなく、勢いで押し切る売り文句です。「大流行」という言葉を使うことで、自分が作ったものを「今いちばんのもの」として差し出しています。
フィルが「さっきから『ジェイレップ』って言ってるな」と呼び名をからかうと、会話は商品の話から呼び名の話へ移ります。ジェイはand and andと言いよどみながら、ジュレップを作ったこと、自分の名前がジェイであることを順に説明します。堂々と売り込んでいた勢いが、からかわれたことで崩れ、弁解に回っているのが見どころです。
フィルの「わかってるよ」は、話をそっけなく切り上げる返しです。ジェイは「ちょっとした遊びだよ」と取り繕うように言い添えます。大流行と言い切った勢いと、茶化されたあとの弁解のあいだに、ジェイの調子の振れ幅が表れています。all the rageは、その勢いをいちばん強く乗せた一言として響きます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
人気の屋台の前に、行列が角を曲がるほど続いている眺めを思い描いてみましょう。一人だけが好きなのではなく、周り中が同じ方向へ押し寄せている状態です。all the rageは、この「周り中が同じものに熱を上げている」感覚を表します。
ジェイが口にしたのは、自分のミント・ジェイレップの前に行列ができているかのような言い方でした。all(すべて)の人にrage(激しい熱)が広がっている、と読んでおくと、「一人の好みではなく今のブーム」という意味が頭に残ります。一人の熱ではなく、周りじゅうの熱だと覚えておけば、単なるpopular(人気がある)との違いも思い出せます。勧める場面でも、周りの流行を伝える場面でも、この行列の絵を思い出せば足ります。
例文で覚える「all the rage」
今まさに流行しているものを語るall the rageを、3つの場面で見ていきましょう。
These sneakers are all the rage right now, so they’re hard to find.
(このスニーカーは今大流行していて、手に入りにくいんです。)
ファッションの話題を友人に伝える場面です。right nowを添えると、「今のブーム」という時期の感覚がはっきりします。
Our new app is all the rage among college students, so we’re hiring more people.
(うちの新しいアプリは大学生のあいだで大流行しているので、人手を増やしています。)
ビジネスの状況報告です。among college studentsで、流行の範囲を示しています。
A: Why is everyone wearing that hat?
B: It’s all the rage this season.
(A:なんでみんなあの帽子をかぶってるの?)
(B:今シーズンは大流行なんだよ。)
流行を友人同士で話す往復会話です。this seasonを添えると、期間限定のブームだと伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
be in fashion
(流行している)
服装などが「流行の中にある」ことを淡々と述べる言い方です。all the rageは、そこに熱狂的な勢いが加わる表現です。
be popular
(人気がある)
人気の有無を述べる一般的な言い方で、期間の限定は含みません。all the rageは、「今まさにブーム」という時期の感覚が出る点が違いです。
be the latest craze
(最新の大流行だ)
the latest crazeは名詞の形で、「最新のブーム」という意味です。all the rageは、主語のあとに置く述語の形で使います。
Note|rageの文字どおりの意味と、「大流行」の訳し分け
rageという単語を辞書で引くと、まず出てくるのは「激しい怒り」という意味です。all the rageの形になると、怒りとは無関係に「熱狂的な流行」を指します。この食い違いは、和訳を考えるときの注意点でもあります。
名詞のrageが表すのは、感情が激しく燃え上がっている状態です。all the rageでは、その「燃え上がり」の部分だけが取り出され、怒りではなく熱気の側を指しています。the rage(激しい熱)がall(すべて)にわたっている、という形のまま読むと、周り中が熱くなっているイメージになります。ここを「全部が怒り」と読んでしまうと、意味が正反対に傾くので、「一語ずつ訳す」より「形ごと一つの表現として受け取る」ほうが安全です。
日本語に直すときは、場面で言葉を選びます。商品や物に使うなら「大人気」「売れに売れている」、時期の勢いを出したいなら「大流行」「今のブーム」が合います。今回のジェイのように、本人が自信を持って勧める場面では、「大流行なんだぞ」のように言い切りの語気ごと訳すと、売り込みの調子が残ります。
つまり、rageを怒りと結びつけず、all the rageを一つの塊として読み、日本語は「大人気」「大流行」「今のブーム」から場面に合うものを選ぶ、という流れになります。
まとめ|「今の熱気」を、ひとことで
all the rageは、ある物や行動がいま熱狂的に受け入れられている状態を表す表現です。単なる人気ではなく、「今まさにブーム」という勢いと時期の感覚を一度に伝えられます。
is・was・becomeを入れ替えれば、現在・過去・変化を言い分けられ、in Tokyoやamong teenagersを添えれば、流行の範囲も示せます。人に何かを勧めるときの決め台詞としても、周りの流行を説明するときの言い方としても使えます。文の形が決まっているので、主語を入れ替えるだけで、商品でも話題でも身近な流行を言い表せます。
ジェイの「大流行なんだぞ」は勢い任せの売り込みでしたが、フィルに呼び名を茶化されると、名前の由来を弁解する側に回っていました。


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