海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
他人には「もう水に流しなよ」と気軽にアドバイスしておきながら、自分自身は昔の恨みをまだ引きずっていた、なんて経験はありませんか。
そんな人間らしい矛盾にぴったりの「carry a grudge」を、『モダンファミリー』シーズン3第23話の後半、ミッチェルを諭そうとしたはずが逆に矛盾を突かれるキャメロンの一言から、一緒に見ていきましょう。
「carry a grudge」の意味とニュアンス
carry a grudge
意味:恨みを(長く)抱き続ける
carry a grudgeは、過去に受けた仕打ちへの恨みや不満を長期間にわたって抱き続けることを表す口語表現です。grudge(恨み)をcarry(運ぶ、持ち歩く)という組み合わせから、恨みという感情をまるで荷物のように持ち歩き続けているイメージが根底にあります。誰かを厳しく評したいときにも、自分自身を振り返るときにも使える、意外と幅の広い言い回しです。
過去のいざこざをいつまでも根に持っている人物を評する場面や、逆に恨みを水に流すよう促す場面などで使われる表現です。時間が経ってもなお心の中に留まり続ける感情の重さを、carry(運ぶ)という動作で表している点が、この言い回しの特徴と言えます。
一時的に腹を立てているだけの状態とは違い、carry a grudgeはその感情を長期間にわたって持ち続けている継続性を含んでいる点も押さえておきたいところです。誰かに助言する場面では、その荷物をそろそろ下ろしてはどうか、という促しのニュアンスを込めて使われることも少なくありません。
【ここがポイント!】
- 核は「恨みという重い荷物を持ち歩き続ける」というイメージ
- 根に持っている人物を評したり、水に流すよう促したりする場面で使う
- carryの「運ぶ」イメージを思い出すと、恨みの重さがすっと想像しやすくなる
『モダンファミリー』S03E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
好意で手伝っていたフィルの事務所の仕事を終えることになったミッチェルが、「クビという言葉は当てはまらない」と言い張り、キャメロンが助言を試みる場面です。ミッチェルとキャメロンの2人の応酬が中心となり、次第に互いの矛盾を突き合う流れになっていきます。軽い調子で始まったやり取りが、思わぬ方向へ転がっていく様子に注目です。
Mitchell: The word “fired” doesn’t even apply. You can’t get fired from a favor.
(そもそも「クビ」って言葉は当てはまらないだろ。好意でやってたことからクビになんてならないよ。)Cameron: Okay, sweetie, maybe you should just let it go. Like I always say, it’s better to carry a tune than a grudge.
(ねえハニー、もう水に流したら? 僕がいつも言ってるとおり、恨みを抱えるより歌を口ずさむほうがいいんだから。)Mitchell: Okay, you You’ve never said that, but And–and what about this grudge you’re holding against Claire? I don’t see you trading that in for a tune.
(いや、そんなこと言ったことないだろ。それに、クレアに対して抱えてる恨みはどうなんだよ。それを歌に持ち替えてるところなんて見たことないぞ。)Cameron: That is completely different. She insulted my parenting skills.
(それはまったく話が別だよ。彼女は僕の子育てをけなしたんだから。)Modern Family Season3 Episode23 (Tableau Vivant)
シーン解説と心理考察
「クビという言葉は当てはまらない」と言い張るミッチェルに、キャメロンは「もう水に流したら?」と助言を試みます。恨みを抱えるより歌を口ずさむほうがいいという、いかにも彼らしい言い回しで助言する姿が印象的です。
ところがミッチェルは間髪を入れずに「そんなこと言ったことないだろ」と切り返し、キャメロン自身がクレアに対して抱えている恨みを引き合いに出します。とっさに作ったような格言めいた一言をパートナーにすぐ見抜かれてしまうこのやり取りには、他人には寛容な助言をしながら自分は恨みを手放せていないという、人間らしい矛盾がコミカルに描かれています。
「それはまったく話が別だ」というキャメロンの言い分は、恨みを抱えている自覚がないわけではなく、自分の場合には正当な理由があるという主張です。この開き直りにも似た切り返しが、助言する側とされる側の立場があっという間に入れ替わってしまう、このやり取りの面白さを支えています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
grudge(恨み)をcarry(運ぶ、持ち歩く)、つまり恨みという重い荷物をずっと背負って歩き続けている様子をイメージしてみましょう。
ミッチェルがキャメロンに指摘した、クレアへの恨みも、まさに手放せずに持ち歩いている荷物そのものでした。恨みを下ろせずにいつまでも運び続けているイメージを持っておくと、根に持っている人物の話をするときにこの表現がすっと浮かんでくるはずです。荷物を軽くするには、どこかで下ろす決断が必要になる、という点まで思い浮かべておくと、水に流すよう促す場面でも自然に使えるようになります。
例文で覚える「carry a grudge」
人物の性格を説明する場面から仲直りを促す場面まで、carry a grudgeを3つの例文で確認していきましょう。
She’s not the type to carry a grudge for very long.
(彼女は長く恨みを抱え続けるタイプではない。)
人物の性格を説明する場面です。not the type toという形にすることで、性格そのものについて話していることが伝わります。
Let’s just move on– there’s no point carrying a grudge over something so small.
(もう前に進もう――こんな些細なことで恨みを抱え続けても意味がないよ。)
仲直りを促す場面で使える言い方です。something so smallを添えることで、恨むほどのことではないという気持ちが強調されます。
A: Are you still mad about what he said last year?
B: No, I don’t carry grudges like that.
(A:去年彼に言われたこと、まだ怒ってるの?)
(B:ううん、そんなふうに恨みを抱え続けたりしないよ。)
過去の出来事について話す会話です。like thatを添えることで、長く根に持つタイプではないことが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
hold a grudge
(恨みを抱く)
carry a grudgeとほぼ同じ意味で置き換え可能な表現ですが、holdのほうがより一般的でよく使われる言い方です。
bear a grudge
(恨みを抱く)
bearはcarryやholdに比べてやや文語的でフォーマルな響きを持つ表現で、日常会話よりも文章の中で見かけることが多くなります。
hold something against someone
((相手の過去の言動を理由に)根に持つ)
against someoneという形を取り、恨みの対象となる相手を明示する構文で使われることが多い表現です。誰に対する恨みなのかをはっきりさせたいときに便利な言い方です。
Note|carry a grudgeとhold a grudge、bear a grudgeの使い分け
恨みを抱くという同じ意味を表す動詞にも、carry、hold、bearといくつかの選択肢があります。
carry a grudgeは、恨みを荷物のように運び続けているイメージが強い言い方です。それに対してhold a grudgeは、恨みを手の中にしっかりと抱え込んでいるイメージがベースになっており、3つの中でもっとも日常的によく使われる形になります。bear a grudgeはcarryやholdに比べてやや文語的な響きを持ち、書き言葉やあらたまった場面でも使われる言い方です。3つとも意味そのものはほぼ同じで置き換え可能ですが、carryが「持ち歩く」、holdが「抱え込む」、bearが「背負う」というように、それぞれの動詞が持つ元々のイメージの違いが、表現全体の響きにも重なっています。恨みの対象を明示したいときは、hold something against someoneのようにagainstを使う形も合わせて覚えておくと便利です。
ミッチェルが指摘したキャメロンのクレアへの恨みも、まさにcarryという動詞がふさわしい、手放されずに持ち歩かれている感情でした。動詞ひとつの選び方で、恨みの抱え方の印象が微妙に変わってくる点が興味深いところです。
会話でカジュアルに使うならholdかcarry、少しあらたまった書き言葉ならbearを選ぶ、という程度の目安を持っておくだけでも、場面に応じた選択がしやすくなります。
同じ意味の動詞でも、選び方次第で伝わる印象が変わってきます。
まとめ|恨みという荷物をどう扱うか
carry a grudgeは、過去の仕打ちへの恨みを長期間にわたって抱き続けることを表す口語表現です。
人物の性格を説明する場面から仲直りを促す場面まで、根に持つ気持ちを語るときに、会話にすっと馴染む言い回しです。
他人には水に流すよう助言しながら、自分自身の恨みはすぐに見抜かれてしまうミッチェルとキャメロンのやり取りには、誰もが抱えうる人間らしい矛盾がにじんでいました。助言する側の見落としがそのまま笑いにつながっている場面でもあります。表現の引き出しに加えてみてください。


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