海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手の予定や計画を聞いて、「それはがんばってね」と応援したいのか、それとも「大変そうだな」と含みを持たせたいのか、自分でもはっきりしない一言を返した経験はありませんか。
そんなときに使える「good luck with that」を、『モダンファミリー』シーズン4第2話の終盤、朝7時からのオリエンテーションがあると聞いたクレアが返す一言から、一緒に見ていきましょう。
「good luck with that」の意味とニュアンス
good luck with that
意味:それはがんばってね、うまくいくといいね(文脈によっては「まあ無理だと思うけど」という皮肉にもなる)
good luck with thatは、相手がこれから取り組むことに対して、幸運を祈る一言です。thatは、相手が直前に話した予定や計画を受ける言葉で、「そのことについては、幸運を祈っているよ」という直訳の感覚になります。
素直に言えば、相手を励ます表現です。一方で、相手の見通しに無理がありそうなときに使うと、「無理だと思うけれど、まあがんばって」という皮肉に変わります。同じ言葉でも、どちらの意味になるかは、声の調子や前後の文脈で決まります。文字だけで見ると判断がつきにくい場面もあり、そこがこの表現の面白いところです。
日本語の「がんばってね」は、励ましの意味で使うのが一般的です。それに対してgood luck with thatは、同じ訳語を当てても、皮肉の響きが出る可能性を常に含んでいます。訳すときは、前後の文脈を確認して、「がんばってね」と「まあ、がんばって」のどちらに寄せるかを選びます。
形としては、Good luck with + 名詞、あるいはgood luck with thatとして、すでに出た内容をthatで受ける使い方が中心です。with のあとには、面接や作業のように、相手が向き合う予定や活動を表す語を置きます。
【ここがポイント!】
- 「good luck with that」の核は、相手が向き合う予定や計画に向けた「がんばってね」という一言
- 素直な励ましにも、含みのある皮肉にもなる、幅のある言い方
- 励ましか皮肉かは、声の調子や前後の文脈で読み取るのがコツ
『モダンファミリー』S04E02のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーが、クレアとフィルに、朝7時からオリエンテーションがあると話し、そろそろ行かなければと切り上げようとします。それを受けたクレアの返事に、今回のフレーズが登場します。そのあとにヘイリー、フィル、クレアが言葉を交わす流れにも注目です。
Haley: Anyway, I should probably get going. We have orientation at 7:00 a.m.
(それじゃあ、そろそろ行かなきゃ。朝7時からオリエンテーションがあるの。)Claire: G-good luck with that, sweetie.
(そ、それはがんばってね、ハニー。)Haley: I love you, guys.
(二人とも大好きだよ。)Phil: We love you, too, honey.
(俺たちも大好きだよ、ハニー。)Claire: So, so much.
(とってもとっても。)Modern Family Season4 Episode2 (Schooled)
シーン解説と心理考察
ヘイリーの「そろそろ行かなきゃ」という一言は、会話を切り上げる合図です。朝7時からのオリエンテーションという予定が、その理由として添えられています。
クレアの返事は、「G-good luck with that, sweetie.」と、最初の音がつっかえる形になっています。「それはがんばってね」という励ましにも、「朝7時は大変そうね」という含みにも聞こえる短い一言です。台本の文字だけでは、どちらの意味かは決められません。どちらにも読める余地が残っているところが、この一言の味わいです。
そのあとの流れも、見どころのひとつです。ヘイリーが「二人とも大好きだよ」と続け、フィルが「俺たちも大好きだよ」と応じ、クレアが「とってもとっても」と重ねます。同じ気持ちを、フィルとクレアが順番に返していく形で、家族のあたたかな空気が伝わってきます。good luck with thatは、その前に置かれた、読み方の分かれる一言として響きます。
つっかえた音から始まるクレアの一言と、そのあとの短く重なる「大好き」の言葉との間には、会話のリズムの違いがあります。最初のひと言で少し言葉を探し、そのあとは迷いなく気持ちを返す流れが、場面全体の温度を作っています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
good luck(幸運を)のあとに、with that(それについて)を足して、「そのことについては幸運を祈るよ」と言い切る形で覚えましょう。thatは、相手が今言ったばかりの予定を、指でそっと差し示す言葉です。
励ましなら笑顔、皮肉なら肩をすくめる、と表情まで頭に浮かべると、二つの読み方を切り分けやすくなります。クレアの一言は、どちらの表情も想像できる余地がある台詞でした。表情とセットで覚えておけば、場面ごとに読み方を選びやすくなります。
例文で覚える「good luck with that」
励ましにも皮肉にもなる、good luck with thatの例文を3つ見ていきましょう。
A: I’m going to finish this report in an hour.
B: Good luck with that.
(A:このレポート、1時間で終わらせるよ。)
(B:まあ、がんばってね。)
無謀そうな計画を聞いた友人が、含みを持たせて返す会話です。短い時間を告げる相手の言葉に、皮肉がこもる場面です。
Good luck with the interview tomorrow. I know you’ve prepared well.
(明日の面接、がんばってね。しっかり準備してきたのは知ってるよ。)
同僚を励ます場面です。あとに続く言葉で、素直な応援だと分かる形になっています。
You’re going to change his mind? Good luck with that.
(彼の気持ちを変えるって? まあ、がんばってみて。)
相手の見通しに疑問を返す場面です。疑問形の直後に添えると、簡単にはいかないだろうという含みが出ます。
あわせて覚えたい関連表現
best of luck
(ご成功をお祈りします)
改まった、素直な励ましの言い方です。good luck with thatは口語で、文脈次第で皮肉にもなる点が異なります。
break a leg
(がんばって、成功を祈る)
舞台などの本番や発表の前にかける、決まった励ましの言葉です。good luck with thatは、thatで相手の予定を受けて、励ましにも皮肉にも使えます。
you’ll need it
(それは必要になるだろうね)
幸運を祈る側が、Good luck.のあとに自分で言い添える言い方です。「Good luck. You’ll need it.」のように使い、たいへんな挑戦をする相手に、少しからかいを込めて添えます。
Note|励ましにも皮肉にもなる、good luck with thatの二つの読み方
good luck with thatは、同じ形のまま、励ましにも皮肉にもなります。二つの読み方は、どこで分かれるのでしょうか。
分かれ目のひとつは、声の調子です。明るく穏やかに言えば励ましに、平坦に、あるいは少し間を置いて言えば皮肉に聞こえます。もうひとつは、前後の文脈です。「面接がんばってね」と言うときは励ましです。「1時間でレポートを終わらせる」と聞いたあとなら、皮肉になります。相手の計画に無理がなさそうかどうかを見て、読み方を選びます。
今回のクレアの台詞は、朝7時のオリエンテーションを受けた一言で、台本の文字だけでは、励ましか皮肉かを決められません。だからこそ、字幕やセリフを追うだけでなく、声の調子まで聞き取る面白さがあります。
同じ形で二つの読み方ができる表現は、聞き手の立場では判断が難しく、話し手の立場では誤解されやすい面があります。素直に励ましたいときは、Good luck with the interview.のように、具体的な内容を添えると、皮肉と取り違えられにくくなります。
まとめ|励ましか皮肉かは、声と文脈が教えてくれる
good luck with thatは、相手が向き合う予定や計画に向けた、「がんばってね」という一言です。
thatが相手の言葉を受けて、話の流れの中で幸運を祈る形になっています。素直に励ますときにも、含みを持たせるときにも使えるため、声の調子や前後の文脈を手がかりに、どちらの意味かを読み取ることが大切です。
朝7時のオリエンテーションを聞いたクレアの、少しつっかえた一言と、そのあとに続くヘイリー、フィル、クレアの「大好き」の言葉には、家族のあたたかな空気が重なっていました。応援したい場面でも、含みを持たせたい場面でも使える表現として、自分の英語の引き出しに加えてみてください。


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