海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン3第6話の前半から、追っている若い窃盗犯を「次のニール・キャフリー」になぞらえるピーターに、ニールが違いを挙げて言い返すやり取りを取り上げます。誰かと比べられたときの返し方と、比べる側の言い直しが、ほんの数行の往復の中にそろっています。
比べる側の言い回しと、比べられた側の切り返しを、別の場面の用例も添えて会話の順に見ていきます。
「the next ~」と「I don’t hack」:比べられて違いを一点に絞る
ピーターがニールに、新しく追う容疑者を紹介する場面です。
Peter: This guy’s a skilled forger, safe cracker, lots of panache, and he’s only 20 years old. Think we might be looking at the next Neal Caffrey.
(こいつは腕のいい偽造師で、金庫破りもこなすし、華もある。しかもまだ20歳だ。次のニール・キャフリーを見てるのかもしれないな。)
Neal: Mm-hmm. He’s a hacker. I don’t hack.
(ふうん。彼はハッカーだよ。僕はハッキングはしない。)White Collar Season3 Episode6 (Scott Free)
the next + 人名 は「第二の〜」を表す定番の言い回しで、その人物に並ぶ存在が現れたと言いたいときに使われます。Think we might be looking at ~ は文頭の I が省かれた会話調で、might が加わることで「〜かもしれない」と控えめな見立てになります。be looking at は「〜を目の前にしている」という意味です。
ニールは Mm-hmm. と軽く受けてから、He’s a hacker. I don’t hack. と返します。容疑者と自分を主語にした短い二文を並べ、名詞 hacker と動詞 hack で同じ語を使い分けています。「一緒にしないでほしい」と長く説明する代わりに、違いを一点に絞って示す返し方です。
この回のニールは、スコットの人物像を話し合う場面でも自分の経験を物差しにしています。容疑者がさらに大胆になるのかと問われると、次のように答えます。
Neal: That’s what I did.
(僕はそうだった。)White Collar Season3 Episode6 (Scott Free)
That’s what I did. は「それが僕のしたことだ」が直訳で、自分の過去をそのまま答えの根拠にする一言です。比べられるのを嫌がる一方で、読みの材料としては自分の経験を持ち出しているのが面白いところです。
「When I was 20」:過去の自分を持ち出して一枚上手を返す
ニールの反論を受けて、ピーターはたとえを言い直します。
Peter: You’re right. A Neal Caffrey for the new millennia, then.
(そうだな。じゃあ、新世紀版のニール・キャフリーだ。)
Neal: When I was 20, I didn’t get caught.
(僕は20歳のころ、捕まらなかったよ。)White Collar Season3 Episode6 (Scott Free)
You’re right. でいったん相手の言い分を認め、文末の then(それなら)で比較を組み直すのがピーターの返しです。a + 人名 は「〜のような人」を表し、millennia は millennium(千年紀)の複数形です。言い分を認めたうえで比較そのものは手放さないので、ニールの反論は受け流されています。
ニールの When I was 20 は、ピーターが最初に口にした only 20 years old を受けて、同じ年齢のころの自分を持ち出す言い方です。get caught は get と過去分詞で「捕まる」を表す受け身です。比べられること自体は否定せず、「同じ年なら自分のほうが上だった」とずらして返すので、反論というより一枚上手の切り返しになっています。
「捕まる」をめぐる話は、別の場面でも二人の間で続きます。
Peter: I wonder what would’ve happened if I’d have caught you earlier.
(もっと早く捕まえてたら、どうなってたんだろうな。)
Neal: It wouldn’t have made a difference, Peter.
(何も変わらなかったよ、ピーター。)White Collar Season3 Episode6 (Scott Free)
I wonder what would’ve happened if ~ は、実際には起きなかった過去を想像する構文です。if 節の I’d have caught は、標準的な I had caught に have が加わった、くだけた会話で耳にする言い方です。ニールは wouldn’t have made a difference で「違いは生まれなかった」と打ち消しています。
まとめ|比べられたときの返し方
the next ~ のたとえ、He’s a hacker. I don’t hack. の違いの指摘、When I was 20 で過去の自分を持ち出す切り返しを見てきました。比較を正面から否定しなくても、一点をずらすだけで返しが立つことが分かります。
次回も『ホワイトカラー』の会話から、言い返し方の工夫を拾っていきましょう。
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