海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
もしものことがあったら、と考えるだけで身構えてしまうけれど、それでも現実的な備えは進めておきたい、そんな気持ちになったことはありませんか。
そんなときに口をつく「God forbid」を、『モダンファミリー』シーズン2第20話の冒頭、ミッチェルとキャメロンがジェイ宅を訪れ、家族との会話を交わす場面から、一緒に見ていきましょう。
「God forbid」の意味とニュアンス
God forbid
意味:そんなことは起きてほしくないが、万が一にも
God forbidは、望ましくない出来事(事故・病気・死など)を仮定して話すときに、その前後に添えて「そうならないでほしい」という気持ちを表す挿入句です。文の途中に挟んで使うことが多く、単独の相づちとしても使えます。「神(God)に禁じて(forbid)もらう」という言葉どおり、率直に神へ禁止を求める言い回しがもとになっているとされ、現在では信仰と関わりなく日常会話に定着しています。遺言や保険、万一の備えといった、あまり触れたくないけれど現実的に必要な話題を切り出すときに、この一言を添えることで場の空気をやわらげる働きもあります。深刻になりすぎずに不吉な仮定を口にできる、便利なクッション表現です。
【ここがポイント!】
- 「God forbid」の核は「そうならないでほしい」という祈るような気持ち
- 文中に挟んでも、単独の相づちとしても使える柔軟な挿入句
- 深刻な話題をやわらげるクッションとして使うのがコツ
『モダンファミリー』S02E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ミッチェルとキャメロンがジェイの家に立ち寄り、家族との会話が続く中、ミッチェルが遺言の見直しについてふと切り出します。何気ない世間話のように見えて、実は少し緊張感の漂う場面です。
Cameron: And she loves her grandmother.
(それに、彼女もおばあちゃんのことが大好きなんだよ。)Gloria: I don’t love “grandmother.
(私は「おばあちゃん」って呼ばれるのは好きじゃないわ。)Mitchell: ” So Cam and I have been revising our will to specify who should take care of Lily if, God forbid, something happened to us.
(というわけで、僕とキャムは、万が一にも僕たちに何かあったときのために誰がリリーの世話をするか、遺言を見直しているんだ。)Cameron: God forbid.
(そうならないといいけどね。)Modern Family Season2 Episode20 (Someone to Watch Over Lily)
シーン解説と心理考察
キャメロンが「彼女もおばあちゃんのことが大好きなんだよ」と切り出すと、グロリアは「おばあちゃんと呼ばれるのは好きじゃないわ」と軽やかに切り返します。そのやり取りの流れのまま、ミッチェルは「万が一僕たちに何かあった場合に備えて、誰がリリーの世話をすべきか遺言を見直している」と本題に入ります。
深刻な内容にもかかわらず、二人はあくまで世間話のような調子を崩しません。ミッチェルの発言を受けたキャメロンの「God forbid.」という短い相づちには、不吉な想定を口にしたことへの軽いためらいが表れています。何気ない会話の中に、あえて重い話題をさらりと差し込む二人の呼吸が見どころです。リリーの世話をめぐる話でありながら、コーヒーの淹れ方の話から自然に続いているのも、この場面ならではの空気を作っています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
「神(God)に禁じて(forbid)もらう」と直訳のまま思い浮かべてみましょう。悪いことを口にした直後に、心の中で軽く祈るような仕草を添えるイメージを持つと、この表現の使いどころが記憶に残りやすくなります。
キャメロンが漏らした「God forbid.」という短い一言も、深刻な話題を茶化さずに受け止めながら、不吉な想定に少しだけ抵抗してみせる、そんな絶妙な距離感を持っています。そのすぐあとに、自分の言葉を打ち消すようにこの一言を添える感覚を持っておくと、単なる相づちとの違いも印象に残りやすくなります。挿入句として文の途中に置く形と、相づちとして単独で置く形の両方を、セットでイメージしておくと使い分けに迷いにくくなります。
例文で覚える「God forbid」
不吉な仮定を口にするときのクッションとして使えるGod forbidを、3つの例文で確認していきましょう。
God forbid anything should happen, but we should still have a plan.
(万が一にも何かあってはいけないけど、それでも計画は立てておくべきだよ。)
家族や友人との日常会話で使える一言です。不吉な想定をやわらげながら、現実的な備えの必要性を伝えています。
If, God forbid, the flight gets canceled, we’ll just take the train.
(万が一にもフライトがキャンセルになったら、電車で行けばいいよ。)
旅行の予定を話す場面です。トラブルを想定しつつも、代替案をさらりと添える落ち着いたトーンになっています。
A: What if the surgery doesn’t go well?
B: God forbid, but let’s talk to the doctor about the risks first.
(A:もし手術がうまくいかなかったら?)
(B:そんなことは起きてほしくないけど、まずは医者にリスクを聞いてみよう。)
医療に関わる不安を話し合う場面です。相手の心配な問いかけに寄り添いながら、次の一歩を提案しています。
あわせて覚えたい関連表現
heaven forbid
(とんでもない、そんなことがあってはならない)
God forbidとほぼ同じ場面で置き換え可能な表現です。heavenを使うことで、宗教色をやや薄めた婉曲的な響きになります。
perish the thought
(そんな考えは捨てよう、とんでもない)
God forbidが「万一の悪い出来事」を仮定する場面で使われるのに対し、perish the thoughtは「その考え自体をやめよう」という拒絶のニュアンスが強く出ます。
touch wood
((縁起を担いで)そうならないように)
God forbidが悪い出来事を仮定する挿入句であるのに対し、touch woodは良い状況を話した直後に「この幸運が続くように」と縁起を担ぐ表現で、使うタイミングが逆になります。
Note|God forbid / heaven forbid / perish the thoughtの使い分け
「そうならないでほしい」という気持ちを表す表現は、英語にはGod forbid以外にもいくつか存在します。
God forbidは、悪い出来事を仮定する文の前後に挿入して使う形が基本で、率直に神へ禁止を求める言い回しに由来するとされ、現在では信仰と関係なく日常的に使われています。一方でheaven forbidは、Godという単語を避けたいときの婉曲的な言い換えとして使われ、フォーマルな場面でも比較的使いやすい響きを持ちます。これに対してperish the thoughtは、仮定の話というより「その考え自体をやめよう」という拒絶に重点が置かれる点で性質が異なります。たとえば、「彼が転職するかもしれない」という話が出たときに、God forbidを使えば「そうならないでほしい」という不安の表明になりますが、perish the thoughtを使うと「そんな考えは捨てよう」という強い否定のニュアンスに変わります。同じ「望ましくない」という気持ちを扱いながらも、仮定を続けるか、その場で切り捨てるかによって表現の役割が分かれてきます。
作中でキャメロンが口にした「God forbid.」も、ミッチェルが続けた仮定の話を受け止めつつ、軽く不安を表明する短い相づちでした。この使い方は、挿入句としてのGod forbidの典型的な例と言えます。3つの表現をとっさに使い分けるのは難しくても、God forbidが仮定を続ける前提で使われる一言だと知っておくだけで、聞き取りの理解度は大きく変わってきます。
似たような表現でも、仮定を続けるか拒絶するかで印象が変わってくるものです。
まとめ|不吉な仮定にそっと祈りを添える一言
God forbidは、望ましくない出来事を仮定して話すときに、「そうならないでほしい」という気持ちを添える挿入句です。
遺言や保険、万一の備えといった、話しづらいけれど現実的に必要な話題を切り出すときに使うと、深刻になりすぎずに会話を進めることができます。単独の相づちとしても使えるため、相手の不安な発言に軽く寄り添う一言としても役立ちます。
ミッチェルとキャメロンが交わした何気ないやり取りには、深刻な話題をあえて軽やかに扱おうとする二人の気遣いが表れていました。もしものことを話すときこそ、こうした一言が会話の緊張をやわらげてくれるのかもしれませんね。


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