海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
みんなで足並みをそろえるはずだった約束が、思わぬところであっさり崩れてしまう瞬間が、ドラマには時々あります。
そんな瞬間にぴったりの「so much for something」を、『モダンファミリー』シーズン3第22話の前半、安全ひもをジェイにからかわれ、ミッチェルにも責任を寄せられたキャメロンが、二人の足並みが崩れたことを一言で言い表すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「so much for something」の意味とニュアンス
so much for something
意味:〜はどこへやらだ、〜もこれでおしまいだ
so much for somethingは、期待していたことや立てていた計画が崩れてしまったときに使う口語表現です。直訳では意味がつかみにくい言い回しで、「期待していたのに、結局そうはならなかった」という失望や皮肉を一言でまとめる働きをします。
計画が予定通りに進まなかったとき、固く決めていたはずの決意が崩れたとき、約束が守られなかったときなど、期待外れの結末をやや突き放した調子で締めくくる場面で使われます。深刻に怒るというより、肩をすくめながら「まあ、そんなものか」と受け流すような、軽やかな皮肉のトーンを持つ表現です。so much forのあとに続く名詞句を入れ替えるだけで、崩れた対象を自在に差し替えられる汎用性の高さも、この表現がとっさの一言として使われやすい理由の一つです。
【ここがポイント!】
- 「so much for」の核は、期待していたことがあっけなく崩れる瞬間を突き放す響き
- 深刻な怒りよりも、肩をすくめるような軽い皮肉のニュアンスが強い表現
- 直後に崩れた計画や約束の中身を続けることで、何が当てはずれたのかが伝わる
『モダンファミリー』S03E22のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ディズニーランドの園内で、キャメロンがリリーに子ども用の安全ひもをつけている場面です。それを見たジェイが、まるで犬の散歩のようだと軽口を叩き、ミッチェルは提案者がキャメロンだったのだと責任を相方に寄せます。ここでキャメロンが放つ一言に、二人でそろえていたはずの足並みが崩れる様子が表れます。
Jay: Lily, heel!
(リリー、ヒール!(犬に「そばにつけ」と命じる合図))Mitchell: Dad.
(父さん。)Jay: If I’d had known you guys were gonna do this, I’d have brought Stella.
(お前らがこんなことするって分かってたら、ステラを連れてきたよ。)Mitchell: It was Cam’s idea.
(これはキャムのアイデアなんだ。)Cameron: So much for the united front. I’ll have you know, despite all your jokes, Lily enjoys it.
(一致団結はどこへやらだね。言っておくけど、みんなに何と言われようと、リリーはこれを気に入ってるんだから。)Modern Family Season3 Episode22 (Disneyland)
シーン解説と心理考察
子ども用の安全ひもをつけられたリリーを見て、ジェイは「リリー、ヒール!」と、まるで犬にかけるような号令を飛ばします。ミッチェルがたしなめても、ジェイは「お前らがこんなことするって分かってたら、ステラを連れてきたよ」と皮肉を重ね、安全ひもを愛犬の散歩に例えてからかいます。
責められる形になったミッチェルが「これはキャムのアイデアなんだ」と、あっさり相方に責任を寄せると、キャメロンは「一致団結はどこへやらだね」と言い返します。それでも「みんなに何と言われようと、リリーはこれを気に入ってるんだから」と自分の判断を弁護する姿からは、からかわれても意見を曲げない意地と、二人で足並みをそろえるはずだった約束があっさり崩れてしまった気まずさの両方が伝わってきます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
勢いよく膨らませていた風船が、針の一突きでしぼんでしまう場面を思い浮かべてみましょう。積み上げてきたつもりの計画や約束が、あっけなく空気を抜かれてしまう、そんな感覚がso much forの芯にあります。
キャメロンが口にした「一致団結はどこへやらだね」という一言も、二人でそろえていたはずの方針という風船が、ジェイとミッチェルのやり取り一つでしぼんでしまった瞬間を、皮肉交じりに言い表したものでした。何かが崩れた直後の一言として覚えておくと、とっさに口をついて出やすくなります。風船がしぼむ先には必ず「何がしぼんだのか」という中身があるように、so much forのあとにも必ず崩れた計画や期待の中身が続く、という構造もあわせて覚えておくと、実際の会話でも使いやすくなります。
例文で覚える「so much for something」
so much for somethingは、計画や期待が崩れた場面でとっさに使える表現です。3つの例文でその使い方を見ていきましょう。
So much for our picnic plans; it’s pouring outside.
(ピクニックの計画はどこへやらだ、外はどしゃ降りだよ。)
天候で予定が崩れてしまった場面です。it’s pouring outsideのように理由を続けることで、何が原因で計画が崩れたのかがはっきり伝わります。
So much for the quiet weekend I was hoping for.
(静かな週末を過ごすつもりだったのに、もう台無しだ。)
思い描いていた予定が乱れてしまった場面です。I was hoping forと続けることで、当てが外れた期待の中身が具体的に見えてきます。
A: I thought the meeting was canceled.
B: So much for that–it just got rescheduled to today.
(A:会議は中止になったと思ってた。)
(B:それもどこへやらだよ、今日に変更になったんだから。)
予定変更を伝え合うビジネスの会話です。thatのように前の内容を短く受けることで、直前の話題がそのまま崩れた対象になっていることを示せます。
あわせて覚えたい関連表現
there goes something
(〜もこれでおしまいだ)
そこにあったはずのものが失われていく様子を表す点はso much forと共通していますが、there goes somethingは何かが物理的に去っていくイメージがより強い言い方です。
that’s the end of something
(〜の終わりだ)
直接的で説明的な言い方で、事実をそのまま述べる響きが強く、so much forが持つ皮肉や失望のニュアンスは薄まります。
well, that didn’t work
(まあ、うまくいかなかったね)
結果の失敗を淡々と述べる表現で、so much forほどの簡潔さや皮肉っぽさは持ち合わせていません。
Note|So much for のあとに何を続けるか、名詞・動名詞で崩れた中身を示す形
so much for somethingは、So much forのあとに名詞または動名詞を続けて使う形が基本です。So much for the united front.(一致団結はどこへやらだ)のように名詞を置く形のほか、So much for keeping it a secret.(秘密にしておくのももう無理だ)のように動名詞を続ける形もあります。前置きの主語や動詞を挟まず、So much forの直後に崩れてしまった中身をそのまま置くのが、この表現の基本の作りです。
So much for that.のように、直前の話題を短く受けて言い切る形もよく使われます。単独の一文として、それだけで会話を締めくくる働きを持つ点も、この表現の特徴です。日本語に訳すときは、「〜はどこへやら」「〜も台無しだ」「〜もこれまでだ」など、崩れた対象や場面に応じて訳し分けると、失望や皮肉のニュアンスがより自然に伝わります。
キャメロンが放った「一致団結はどこへやらだね」という一言も、So much for the united front.という名詞を続ける基本の形そのもので、ミッチェルと同じ方針を示すはずだった約束が崩れたことを、この一言で言い表していました。
so much for somethingは、名詞や動名詞を直後に続けるだけで、崩れてしまった中身をそのまま示せる、使い勝手のよい表現です。
まとめ|崩れた足並みを笑いに変える一言
so much for somethingは、期待していた計画や約束があっけなく崩れてしまったときに使う、皮肉交じりの表現です。名詞や動名詞をそのまま直後に続けるだけで、崩れてしまった中身をすっと示せる作りが、この表現の使いやすさにつながっています。
計画の中身を入れ替えるだけで、天気・予定・約束など幅広い場面に使えるのも、この表現の持ち味です。
安全ひもを巡ってからかわれたキャメロンが放った「一致団結はどこへやらだね」という一言にも、崩れた足並みをあえて笑いに変えてしまう、家族らしい掛け合いの呼吸が表れていました。何かの計画が崩れた瞬間に、会話のレパートリーに加えてみてください。


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