海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「今の若い子は楽でいいよね」と、昔の自分と比べて、つい口にしてしまうことがあります。
そんな一言を英語で言うときの「have it easy」を、『モダンファミリー』シーズン8第8話の後半、子どもたちに向けて語るフィルの一言から、一緒に見ていきましょう。
「have it easy」の意味とニュアンス
have it easy
意味:楽をしている、恵まれている(苦労が少ない状況にある)
have it easy は、苦労が少ない、楽な状況にあることを表します。have は「持つ」、easy は「楽な」です。it は特定の物ではなく、その人の置かれた状況や暮らしぶりを指すので、「楽な状況を持っている」、つまり「楽をしている」「恵まれている」という意味になります。
この表現は、誰かの状況を、ほかの時代やほかの人と比べて語る場面で使います。「昔に比べて、今は楽だ」「あの人は苦労が少なくていいな」といった、比較の気持ちが入りやすい言い方です。そのため、話し手が相手をうらやむ気持ちや、少し批判する気持ちが混ざることもあります。
形は変えられます。ドラマで聞こえるのは、easy の前に too が入った have it too easy です。too は「〜すぎる」という程度を表す語なので、「楽すぎる」「恵まれすぎている」と、少し責める調子になります。さらに、否定の don’t have it easy は「楽ではない」、つまり苦労している、という意味です。比べる形の have it easier も作れます。
【ここがポイント!】
- 「have it easy」の核は、it(その人の状況)を楽な状態で持っている、つまり楽をしていること
- too を挟んだ have it too easy は、「楽すぎる」と少し責める調子の形
- 否定の don’t have it easy や、比べる have it easier など、形を変えて使える表現
『モダンファミリー』S08E08のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
雑誌をめぐるやり取りのなかで、フィルが子どもたちに向けて、人間が食べ物を求めて採集し、戦った時代を持ち出します。そのうえで、今どきの子どもたちは楽すぎると続ける場面です。フレーズは、二つ目の文の中に出てきます。
Phil: Kids, these magazines harken back to a time when man had to forage and fight for his foods. You guys have it too easy nowadays.
(みんな、この雑誌は、人間が食べ物を求めて採集し、戦わなきゃいけなかった時代を思い起こさせるんだ。おまえたちは今どき、楽をしすぎなんだよ。)Modern Family Season8 Episode8 (The Alliance)
シーン解説と心理考察
フィルは Kids と呼びかけてから、昔の話、今の話の順に二文を続けています。前半の Kids, these magazines harken back to a time … では、呼びかけの相手が子どもたちで、続く these magazines は、その場にある雑誌のことです。
harken back to は「〜を思い起こさせる」「〜にさかのぼる」という意味です。雑誌が、ある時代を思い出させる、と言っています。その時代を説明するのが a time when … で、when 以下が「〜だった時代」を表します。man had to forage and fight for his foods は、人間が食べ物を求めて、探し回って、戦わなければならなかった、という内容です。
forage は、食べ物を探し回ることです。fight for は、〜を求めて戦うことです。had to は「しなければならなかった」という過去の義務で、昔の暮らしの厳しさを示しています。man は「人間」を広く指す言い方で、his foods は「食べ物」と訳します。
そして後半の You guys have it too easy nowadays. が、フレーズの出てくる一文です。You guys は、前半の Kids を受けた「おまえたち」で、nowadays は「今どき」です。昔は食べ物を得るために探し回り戦っていたのに対して、おまえたちの今は楽すぎる、という対比になっています。
ここで大切なのは、前半の昔の話があるからこそ、後半の have it too easy が生きる点です。have it easy は、何かと比べて「楽」だと言う表現なので、比べる相手が先に示されているほうが意味がはっきりします。フィルは、人間が苦労してきた時代を先に置いて、そのうえで今の子どもたちの暮らしを「楽すぎる」と言っています。
too が入っている点も見逃せません。have it easy だけなら、「楽をしている」という状況の描写で済みます。そこに too を足すことで、「楽すぎる」という少し責めるような調子が加わり、子どもたちへの小言のような響きになります。
フィルは冒頭の Kids という呼びかけから、昔、そして今、という順に話を進めています。語りかける相手、比べる昔の時代、そして今の暮らしへの一言。短い二文の中に、フレーズが生きる順序がそろっています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
it は「その人の状況」です。人はそれぞれ、重い荷物を背負って歩いているとします。ほかの人より荷物が軽い人は、同じ道を楽に歩けます。この「荷物が軽い状態を持っている」というのが、have it easy の絵です。
too を足すと、荷物が軽すぎて、見ている人が「そんなに楽でいいのか」と言いたくなる状態になります。フィルの have it too easy は、まさにこの見方で、昔の人が背負っていた重い荷物と、今の子どもたちの軽い荷物を比べた一言です。
比べる形の have it easier なら、「前よりも荷物が軽い」、否定の don’t have it easy なら、「荷物が軽くはない」と読み替えられます。荷物の重さを頭に置いておけば、形が変わっても意味を追いかけられます。
例文で覚える「have it easy」
too を挟んだ形、比べる形、打ち消す形を、場面を変えて見ていきます。
My grandfather says we have it too easy these days.
(祖父は、僕たちは最近、楽をしすぎだと言う。)
フィルと同じ have it too easy の形です。these days は nowadays と同じく「このごろ」を表し、時を添えています。
A: She got the job right after school.
B: Some people just have it easy.
(A:彼女、学校を出てすぐ仕事が決まったんだって。)
(B:人によっては、楽に事が運ぶものだね。)
うらやましい境遇を話題にする往復の会話です。just が入ると、「ただ単に」という素っ気ない響きが加わります。
We haven’t had it easy this winter, with the heater broken.
(暖房が壊れていて、この冬は楽ではなかった。)
否定の形で、苦労している状況を語る場面です。with the heater broken が、楽ではない理由を示しています。
あわせて覚えたい関連表現
have it good
(恵まれている)
have it good は、暮らしや境遇が良い、恵まれていることを表します。have it easy は、苦労が少ない、楽であることに重点があります。
have it made
(成功が約束されている、何の心配もない)
have it made は、成功や安泰がほぼ確実だという強い言い方です。have it easy は、いまの状況が楽だという、より日常的な言い方です。
take the easy way out
(楽な道を選ぶ、安易な逃げ道を選ぶ)
take the easy way out は、自分で楽な方法を選ぶ行動を表します。have it easy は、状況そのものが楽であることを表し、本人の選択とは限りません。
Note|too を挟む、比べる、打ち消す。have it easy の形の変え方
have it easy は、基本の形を押さえておくと、いろいろな言い方に広げられます。フィルが使った have it too easy を起点に、形の変え方を三つ見ていきます。
一つ目は、too を挟む形です。have it easy の easy の前に too を置くと、「楽すぎる」という意味になります。too は easy の直前に置きます。Kids have it too easy. のように、主語のあとに have it too easy を続けます。ドラマでは、You guys have it too easy nowadays. と、nowadays を文末に添えて、いつの話かを示しています。
二つ目は、比べる形です。easy を easier に変えると、「より楽をしている」になります。比べる相手は、than のあとに置きます。Kids today have it easier than we did. なら、「今の子どもたちは、私たちよりも楽をしている」という意味です。昔と今を比べるときに、この形で、比較の対象をはっきり示せます。
三つ目は、打ち消す形です。don’t have it easy は、「楽ではない」という意味で、苦労している状況を語るときに使います。We don’t have it easy. なら、「私たちは楽ではない」です。ここで注意したいのは、don’t have it easy と don’t have it too easy の違いです。前者は「楽ではない」、後者は「楽すぎるわけではない」と、否定する範囲が少しずれます。
もうひとつ、押さえておきたいのが it の働きです。have it easy の it は、特定の物を指さず、その人の置かれた状況を表します。そのため、it はそのまま置き、時や比べる相手、理由を後ろに足していく形になります。
このように、too を挟む、比べる、打ち消すという三つの変え方を知っておくと、have it easy を状況に合わせて言い分けられます。
まとめ|昔と今を並べて、楽かどうかを語る
have it easy は、苦労が少なく、楽をしていることを表す表現です。it はその人の状況を指し、昔やほかの人と比べて「楽だ」と言うときに使います。
too を挟めば「楽すぎる」、easier にすれば「より楽」、don’t を付ければ「楽ではない」と、形を変えて言い分けられます。それぞれ、後ろに時や比べる相手、理由を添えると、意味がはっきりします。
次に誰かの恵まれた境遇を語る場面では、比べる相手を先に置いてから have it easy と言えば、フィルの一言と同じ順序で伝わります。


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