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『メンタリスト』シーズン5第13話には、仕事の誘いが切り出される会話が出てきます。CBI(カリフォルニア州捜査局)を辞めて自分の会社を立ち上げると打ち明けたうえで、一緒に来ないかと持ちかける流れです。誘う言葉のあとに、持ち上げと断りの返しが続きます。
誘う側の遠回しな切り出し方と、持ち上げられた側の返し方、そして理由の線引きの仕方を、順を追って見ていきます。
「I was wondering if you’d consider ~」遠回しに誘う切り出し
ある会話の中で、一方が次のように打ち明けます。
— I’m leaving CBI.
(CBI を辞めるんだ。)
— I’ve lined up some capital. I’m starting my own firm.
(資金の当てはつけた。自分の会社を始める。)
— Security and investigations for high-end clients.
(高額な依頼人向けの、警備と調査の会社だ。)
— I was wondering if you’d consider coming with me.
(一緒に来てもらえないかと思っているんだ。)
The Mentalist Season5 Episode13 (The Red Barn)
最初の二つは、これから起きることの報告です。I’m leaving CBI. は現在進行形で、すでに決めた予定を伝える形になっています。line up は「手配する、確保する」という意味の句動詞で、lined up some capital は資金の目途をつけたという言い方です。firm は会社、とくに専門的な業務を扱う事務所に使われることの多い語です。
Security and investigations for high-end clients. は動詞のない名詞句で、会社の中身を言い足しています。話し言葉では、主語や動詞を省いて名詞だけで言い足す形が見られることがあります。
誘いの本題は最後の一文です。I was wondering if ~ は、「〜かどうかと思っていた」という形で、直接的な依頼を和らげます。Will you come with me? と言えば答えを迫る響きになりますが、I was wondering と過去進行形にすると、相手が断りやすい余地が残ります。さらに you’d consider の would が、控えめな響きを加えています。
consider のあとの動詞は coming と -ing の形になります。consider は「検討する」という意味で、すぐ決めなくてよいと伝える働きもあります。決断ではなく検討を頼む形なので、誘いの重さが少し下がります。切り出す側は、報告を先に重ね、そのあとで誘いの一文を置いています。
「I am flattered, Ray, but I like my job.」持ち上げへの返し
誘いに続いて、誘った側の言葉として読める持ち上げが重なり、それに断りの返しが続きます。
— You’re one of the top agents in the division.
(あなたは部署でも指折りの捜査官だ。)
— Everyone knows it.
(誰もが知っていることだ。)
— You–you deserve a position commensurate with your gifts.
(あなたの才能に見合う地位に就くべきだ。)
— I am flattered, Ray, but I like my job.
(光栄です、レイ。ですが、今の仕事が気に入っているんです。)
The Mentalist Season5 Episode13 (The Red Barn)
deserve は「〜にふさわしい、〜を受けるに値する」という意味です。commensurate with ~ は「〜に見合った」という少し硬い言い方で、a position commensurate with your gifts は能力に釣り合う地位を指します。
返しの I am flattered は、持ち上げられたことへの礼を、先に短く述べる形です。そのあとに but を置いて、本題の断りを続けています。礼を先に言い、断りを後ろに置く順序なので、相手の厚意を受け止めたうえで答えているのが分かります。
この返しで目を引くのは、I am と短縮せずに言っている点と、相手の名前を添えている点です。短縮しない形は、改まった響きになることがあります。名前を添える形は、誰に向けた返事かをはっきりさせます。理由は I like my job. の一文だけで、長い説明を重ねていません。断るときは、礼、but、短い理由という三つの部品で足りることが、この例から分かります。
「It’s not about the money.」理由の線引きと、念押しの一言
給与をめぐるやりとりが、数行続きます。
— Yeah, I like my job, too.
(ええ、こちらも今の仕事は気に入っている。)
— I’d like it better if I’d had a raise in the past three years.
(この3年で昇給があれば、もっと気に入るんだが。)
— California’s broke, if you didn’t notice.
(カリフォルニア州は財政難だよ、気づいていなければ言っておくが。)
— It’s not about the money.
(お金の問題じゃない。)
The Mentalist Season5 Episode13 (The Red Barn)
I’d like it better if I’d had a raise は、「昇給があったら、もっと気に入るのに」と、実際にはなかったことを仮定する形です。if I’d had と過去完了を使っているため、現実とは違う話だと分かります。broke は「お金が尽きている」という意味で、ここでは州の財政を指しています。if you didn’t notice は「気づいていないなら言っておくが」と事実を添える形で、前の発言に重ねる使い方です。冒頭の too は「〜も同じ」と、直前の内容に重ねる語です。
It’s not about ~ は、「〜が問題なのではない」と、話の焦点を切り分ける言い方です。この例では、直前の給与の話題を指して、これが理由ではないと線を引いています。
同じ会話の少しあとには、念を押す言葉が出てきます。
— Because I think you deserve better.
(あなたにはもっと良いものがふさわしいと思うから。)
— Think about it.
(考えてみて。)
The Mentalist Season5 Episode13 (The Red Barn)
deserve は、先ほどの持ち上げにも出てきた語です。Think about it. は、返事を急がせず、考える時間を渡す表現です。誘いの会話は、持ち上げ、給与をめぐるやりとり、念押しの順に進んでいます。
まとめ|誘いの切り出し方と、断り方
I was wondering if you’d consider ~ で控えめに切り出し、I am flattered, but ~ で礼を先に述べて断る。理由の線引きには It’s not about the money. が使われています。
次回も『メンタリスト』と一緒に英語を学んでいきましょう。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、場面ごとの英語の働きが見えてきます。


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