海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン6第9話で、レイチェルは感謝祭のデザートにイギリスのお菓子のトライフルを作ります。ところが、ページがくっついた雑誌のレシピを見ていたため、層の途中に牛肉が入ってしまいます。
作った本人を傷つけないよう、周りはおいしいふりをすることにします。そのときに出てくる「ふりをする」の言い方と、ほめ言葉や席を外す口実の英語を見ていきます。
「act like」と「pretend」2つの「ふりをする」
雑誌のページがくっついていることに気づいたのはロスで、レイチェルが席を外している間のことでした。レイチェルの古い部屋でジョーイと2人になると、ジョーイがレイチェルに言うべきだと切り出します。
Joey: Look, when everyone eats that banana meat thing they’re all going to make fun of her. Do you want that?
(なあ、みんながあのバナナと肉のやつを食べたら、全員でレイチェルをからかうぜ。それでいいのかよ?)
Ross: Okay, okay, we’ll just get everyone to act like they like it.
(わかった、わかった。みんなに気に入ったふりをしてもらえばいいんだ。)
Friends Season6 Episode9(The One Where Ross Got High)
act like ~ は「〜のようにふるまう」で、後ろに they like it という文がそのまま続いています。外から見える態度をそう見せる、という意味合いです。get everyone to ~ は「みんなに〜してもらう」で、ロスが周りを動かす役を引き受ける形になっています。
そのあと、部屋の中でジョーイがみんなに事情を話し、こう付け加えます。
Joey: And, uh, if anyone needs help pretending to like it I learned some things in acting class. Try rubbing your stomach. Or saying “mmm.”
(それと、えっと、気に入ったふりをするのに手伝いが要るなら、俺、演技の授業でいくつか習ったんだ。おなかをさすってみな。それか「んー」って言うとかさ。)
Friends Season6 Episode9(The One Where Ross Got High)
pretend to ~ は「〜するふりをする」で、ここでは help のあとなので pretending to like it と ing 形になっています。act like が態度の見せ方に目を向けるのに対し、pretend は実際の気持ちとは違うことを装う点に重心がある、と説明されることが多い言葉です。
会話では act like のあとに文を続ける形がくだけた言い方とされ、改まった文章では act as if が使われることもあります。Try ~ing は「〜してみて」と、具体的なやり方を勧める形です。おなかをさする、声を出すと、ふりの中身まで指示しているところに、演技の授業を受けてきたジョーイらしさが出ています。続けてチャンドラーが、その授業の代金はもう払わないと返す流れも続きます。
「How good?」と聞かれて、大げさにほめる
レイチェルは最初のひと口をモニカに勧めます。モニカはジョーイに言われたとおりにおいしいふりをして、こう答えます。
Rachel: Well?
(どう?)
Monica: It’s good.
(おいしいわ。)
Rachel: Really? How good?
(ほんと?どれくらい?)
Monica: It’s so good that I feel really selfish being the only one who’s eating it. And I think we should have everyone taste how good it is. Especially Ross.
(すごくおいしいから、私だけ食べてるのが悪い気がするくらい。みんなにもどれだけおいしいか味わってもらうべきだと思うの。特にロスにね。)
Friends Season6 Episode9(The One Where Ross Got High)
Well? は一語で感想を促す言い方で、How good? は「どのくらいいいの?」と程度を聞き返しています。短い It’s good. だけでは物足りないと受け取ったレイチェルが、もう一歩先を求める流れです。作った側が感想を一言で済ませず、程度まで聞き返すこの形は、手料理をふるまう場面で覚えておくと返し方に迷いにくくなります。
モニカの It’s so good that ~ は「とても〜なので…」の so ~ that の形で、「自分だけ食べるのは悪い」という理由に話を移しています。ほめているように聞こえながら、自分が食べる量を増やさずに、ほかの人へ順番を回す言い方になっています。
最後の Especially ~. は「特に〜」と、文の形にせず名前だけを添える言い方です。we should have everyone taste ~ の have は「(人に)〜させる」の使役で、「みんなに味わってもらうべき」という意味になります。taste のあとの how good it is は「どれほどおいしいか」という間接疑問で、感嘆の気持ちを名詞のかたまりにして続けています。
「so I can ~」で席を外す口実と、本当に好きな人
全員がひと口食べたあと、何人かが理由をつけて部屋を離れます。
Chandler: Yeah, this is so good that I’m going to go enjoy it on the balcony. So I can enjoy the view whilst I enjoy my dessert.
(ああ、これ、すごくうまいから、バルコニーで味わってくるよ。デザートを楽しみながら景色も楽しめるようにね。)
Mrs. Geller: And I’m going to call my friend, Mary and tell her how good this is from Monica’s room.
(私は友達のメアリーに電話して、これがどんなにおいしいか伝えるわ。モニカの部屋から。)
Mr. Geller: I’ll help you dial.
(ダイヤルを手伝うよ。)
Monica: And I’m going to go into the bathroom so I can look at it in the mirror as I eat it.
(私はバスルームに行くわ。鏡で見ながら食べられるように。)
Friends Season6 Episode9(The One Where Ross Got High)
I’m going to go ~ で行き先を告げ、so I can ~ で「〜できるように」と目的を添えるのが、口実の組み立て方です。どの理由も少しずつ無理があり、言い訳の型をそろえて重ねていくところに笑いがあります。I’ll help you dial. は、相手の口実にそのまま乗って一緒に抜け出す一言です。チャンドラーの whilst は while と同じ「〜しながら」の意味で、少し古風な響きがあるとされる語です。
レイチェルがバルコニーへ向かったあと、残ったロスとジョーイの会話です。
Ross: It tastes like feet.
(足みたいな味がする。)
Joey: I like it.
(俺は好きだけど。)
Ross: Are you kidding?
(冗談だろ?)
Joey: What’s not to like? Custard? Good. Jam? Good. Meat? Good!
(どこが嫌なんだよ?カスタード?うまい。ジャム?うまい。肉?うまい!)
Friends Season6 Episode9(The One Where Ross Got High)
taste like ~ は「〜のような味がする」で、ここではたとえで味の悪さを伝えています。ロスの Are you kidding? は「冗談でしょ?」と、相手の言葉が信じられないときに聞き返す表現で、自分の感想とは正反対の答えを確かめる一言になっています。ジョーイの What’s not to like? は「嫌いなところなんてある?」という反語の形です。ふりをする人たちの中で、ジョーイだけが本当に気に入っているという対比になっています。
まとめ|おいしいふりをする英語
act like they like it と pretending to like it の形の違い、How good? に返す It’s so good that ~、so I can ~ を使った口実を見てきました。同じ「ふり」でも、言い方ごとに見せ方や重心が少しずつ変わります。
本音とふりが入り混じるこの場面に目を向けると、ひとつひとつの言い訳の英語もより楽しめます。
このエピソードの英語表現は、ほかのコラムやフレーズ記事でも扱っています。


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