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『フレンズ』シーズン4第3話では、チャンドラーとジョーイの部屋に百科事典のセールスマンがやってきます。部屋にいたジョーイは売り込みを受け、全巻の値段を示されて返事を迫られることになります。
売り手の切り出し方や、「いくらなら出せる?」と聞かれたときの返し方は、知っておくと場面が読みやすくなります。玄関先の第一声から最後の1冊を選ぶまでを、順に追っていきます。
「Are you the decision-maker of the house?」売り込みの切り出し
ジョーイがドアを開けると、セールスマンは何か言われる前に部屋へ入ってきて、話し始めます。
The Salesman: Good afternoon. Are you the decision-maker of the house?
(こんにちは。こちらのご家庭で物事を決める方はあなたですか?)
The Salesman: Do you, uh, currently own a set of encyclopedias?
(ええと、現在百科事典のセットをお持ちですか?)
Joey: No, no, but, uh, try the classifieds. People sell everything in there.
(いや、ないね。でも、案内広告を見てみなよ。あそこでは何でも売ってるから。)
The Salesman: Actually, I’m not buying. I’m selling.
(実は、買いに来たのではありません。売りに来たんです。)
Friends Season4 Episode3(The One with the Cuffs)
decision-maker は「決定権を持つ人」です。セールスマンが最初にこれを聞くのは、買うかどうかを決められる相手かを確かめるためだと読み取れます。続く Do you currently own ~? は「現在〜をお持ちですか?」と、相手の持ち物を確認する丁寧な質問です。
ジョーイはこの質問を、百科事典を買い取りたいという意味に受け取り、売りたい人を探すなら案内広告を見ればいいと勧めます。try ~ は「〜を当たってみたら」と、試す先を提案するときにも使える形です。セールスマンの I’m not buying. I’m selling. は、buy と sell を並べて立場の取り違えを正す、短く分かりやすい返しです。
このあとセールスマンは、友達の会話についていけないことはないかとジョーイに問いかけます。ジョーイが思い当たる場面を思い返して黙っていると、セールスマンは2分半ほど何も言っていないと指摘し、Are you at all interested? と尋ねます。
at all は疑問文で「少しでも」を表すため、「多少なりとも興味はおありですか?」という確認になります。ジョーイは何度か Yeah と繰り返したあと、Come on in.(入って)と答えます。セールスマンはすでに部屋の中にいるので、この一言は場所の案内ではなく、話を聞く気になったという返事として受け取れます。
「What can you swing?」払える額を聞かれたら
場面が変わり、ジョーイが「V」の巻を読んでいるところで、セールスマンが値段を切り出します。
The Salesman: So, what do you say, Joey? You get the whole set of encyclopedias for $1200.
(それで、いかがでしょう、ジョーイ? 百科事典の全巻セットが1200ドルです。)
The Salesman: That works out to just 50 bucks a book.
(1冊あたり、たったの50ドルになります。)
Joey: Twelve hundred dollars?
(1200ドル?)
Joey: You think I have $1200?
(俺が1200ドルも持ってると思う?)
Friends Season4 Episode3(The One with the Cuffs)
So, what do you say? は「で、どうする?」と相手の返事を求める問いかけです。That works out to ~ は「計算すると〜になる」で、総額を1冊あたりに割って安く見せる言い方として使われています。ジョーイはこのあと、昼間から家にいて、居間には庭用の家具が置いてある自分にそんなお金があるはずがないと続けます。
The Salesman: Well, uh, what can you swing?
(では、ええと、いくらなら出せますか?)
Joey: How about zero down and zero a month for a long, long time?
(頭金ゼロで、毎月ゼロを、ずーっとってのはどう?)
The Salesman: You don’t have anything?
(何もお持ちでないんですか?)
Joey: You want to see what I got? Okay.
(俺が何を持ってるか見たい? いいよ。)
Friends Season4 Episode3(The One with the Cuffs)
swing はくだけた会話で「(お金などを)なんとか工面する」の意味があり、What can you swing? で「いくらなら出せる?」と相手の予算を聞く質問になります。ジョーイの返しは、down(頭金)と a month(月々)という分割払いの言い方を使い、どちらもゼロと答えるものです。払う気がないのではなく払えないことを、冗談の形で伝えています。セールスマンに You don’t have anything? と聞き返されると、ジョーイはそれならと持ち物を見せることにします。
「I get the picture」引き上げる言い方と最後の選択
ジョーイがポケットの中身を出して見せると、セールスマンは事情を察して帰ろうとします。
The Salesman: Okay, I get the picture. Uh, thanks for your time.
(分かりました、事情は飲み込めました。ええと、お時間をありがとうございました。)
Joey: And a fifty.
(あと、50ドル。)
Joey: Huh. These must be Chandler’s pants.
(へえ。これ、チャンドラーのズボンだな。)
Friends Season4 Episode3(The One with the Cuffs)
I get the picture. は「(全部言われなくても)状況は分かった」と察したことを伝える言い方です。picture は「全体像」を指し、相手が説明し終える前に話を引き取るときにも使われることがあります。Thanks for your time. は、話を切り上げて帰るときの丁寧なお礼として添えられています。
ところが、ジョーイのポケットからは50ドル札も出てきます。ジョーイ自身は、はいていたのがチャンドラーのズボンだったらしいと気づきます。お金が出てきたところで、セールスマンの話はすぐに次へ進みます。
The Salesman: For 50 bucks you can get one book.
(50ドルあれば1冊お求めになれますよ。)
The Salesman: What will it be? A? B? C?
(どれにしますか? A? B? C?)
Joey: I think I’m gonna stick with the V. I want to see how this bad boy turns out.
(俺はVのままにするよ。こいつがどうなるのか見たいからさ。)
Friends Season4 Episode3(The One with the Cuffs)
What will it be? は「どれにする?」と選択を促す質問で、店などで注文を聞くときにも使われることがあります。全巻は無理でも1冊なら、と条件を変えて、すぐに選択肢を示しているのが分かります。
ジョーイの stick with ~ は「〜のままでいく、〜から変えない」という意味で、読み始めていた「V」の巻を選ぶという返事になっています。this bad boy は人ではなく、手元の物を親しみをこめて指すくだけた呼び方です。ここでは読みかけの本を指していて、続きが気になるという気持ちが turns out(結局どうなるか)とともに表されています。
まとめ|売り込みと値段のやりとりの英語
Are you the decision-maker?、What can you swing?、I get the picture など、売る側の切り出しと、お金のない側の冗談まじりの返しを見てきました。立場ごとの言い方を並べると、やりとりの流れが追いやすくなります。
ジョーイとセールスマンの噛み合わない会話を観ながら、値段をめぐる英語に親しんでいけます。
この回のほかのコラムやフレーズ記事では、別の場面の英語を取り上げています。


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