海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン4第23話では、ロスの結婚式のために、チャンドラーとジョーイもロンドンへ向かいます。出発前からロンドンに着いたあとまで、二人の軽口や言い合いが、いくつもの場面で交わされます。
連れに言いすぎてしまったあと、どう切り出して謝るかは迷うところです。出発前の皮肉、旅先での言い合い、そして謝ったあとに添える一言を、場面ごとに見ていきます。
「I was wrong」皮肉で前言を取り消してみせる
出発前、モニカとレイチェルの部屋に、チャンドラーとジョーイが入ってきます。そこでのやりとりです。
Joey: London, baby.
(ロンドンだぜ、ベイビー。)
Chandler: Okay, ‘cause that’s not going to get annoying.
(なるほど、それならうっとうしくなりそうにないな。)
Joey: London, baby!
(ロンドンだぜ、ベイビー!)
Chandler: You know what? I was wrong.
(あのさ、俺が間違ってた。)
Friends Season4 Episode23(The One with Ross’s Wedding, Part 1)
annoying は「いらいらさせる」「うっとうしい」という意味で、get annoying は「だんだんうっとうしくなる」という変化を表します。チャンドラーの that’s not going to get annoying は、言葉どおりなら「うっとうしくはならない」ですが、ここでは逆の意味を込めた皮肉と読み取れます。
ジョーイが同じ言葉をもう一度言うと、チャンドラーは I was wrong. と続けます。「うっとうしくならない」と言ったのは間違いだった、つまりもううっとうしい、という落ちになっています。本来は自分の誤りを認める一言を、皮肉の締めに使っているのがこの場面の特徴です。
You know what? は「あのさ」「ねえ」と、次の一言に注意を向ける前置きです。改まった話より、軽い言い直しや決めの一言の前に置かれることがあります。英語の皮肉は、言葉と意味が逆になる分、声の調子や前後の流れで伝わることが多いと言われます。チャンドラーの二つの台詞も、ジョーイの繰り返しをはさむことで皮肉だと分かる組み立てです。
「You’ve embarrassed me enough for one day」連れに条件をつける
ロンドンに着いた二人は、公園のお土産の露店に立ち寄ります。ジョーイが帽子を買おうとすると、チャンドラーが止めに入ります。
Chandler: You’re not really going to buy that. You’ve embarrassed me enough for one day.
(まさか本当にそれを買う気じゃないよな。今日はもう十分恥ずかしい思いをさせられたんだ。)
Joey: Oh, I embarrass you?
(へえ、俺が恥ずかしいって?)
Chandler: How can I answer that when I’m pretending I don’t know you?
(知らないふりをしてるのに、どうやって答えろっていうんだ?)
Friends Season4 Episode23(The One with Ross’s Wedding, Part 1)
embarrass は「人に恥ずかしい思いをさせる」という動詞で、恥ずかしい思いをさせる側が主語になります。enough for one day は「一日分としてはもう十分」という言い方です。ジョーイの I embarrass you? は、言われたことをそのまま問い返す形です。チャンドラーの返しは、知らないふりをしているから答えられない、という冗談です。
露店の店員が口をはさんだあと、チャンドラーはさらに条件をつけます。
Chandler: Look, if you insist on wearing that in public you’re going to spend the rest of the afternoon all by yourself.
(いいか、人前でそれをかぶるって言い張るなら、午後はずっとひとりで過ごすことになるぞ。)
Joey: If you’re going to make me choose between you and the hat, I choose the hat.
(俺にお前と帽子のどっちかを選べって言うなら、帽子を選ぶね。)
Friends Season4 Episode23(The One with Ross’s Wedding, Part 1)
insist on ~ing は「どうしても〜すると言い張る」、in public は「人前で」です。the rest of the afternoon は「午後の残りの時間」で、all by yourself と合わせて「この先はひとりで過ごせ」という意味になります。make me choose between A and B は「AとBのどちらかを選ばせる」で、ジョーイは条件を受けて立ち、帽子を選ぶと返します。
「If it makes you feel any better」謝ったあとに添える一言
場面は二人のホテルの部屋に移ります。帰ってきたジョーイに、チャンドラーは、恥ずかしいと言ったのはよくなかったと謝ります。そのあとに続くのがこの一言です。
Chandler: If it makes you feel any better I’ve had a really lousy day.
(少しは気が晴れるかもしれないから言うけど、俺はほんとにさえない一日だったよ。)
Joey: Me, too.
(俺も。)
Chandler: Yeah?
(そうなのか?)
Joey: No!
(いや!)
Joey: I had the best day ever.
(最高の一日だったよ。)
Friends Season4 Episode23(The One with Ross’s Wedding, Part 1)
If it makes you feel any better, ~ は「それで少しでも気が楽になるなら言うけど」という前置きです。any better は「少しでもよく」の意味で、相手の気分が少しでも上向くならと控えめに差し出す響きになります。後ろには、自分の失敗やついていない話を続けることが多い形です。lousy はくだけた語で「ひどい」「さえない」を表します。
チャンドラーは謝ったうえで、自分も楽しい一日ではなかったと伝えます。ところがジョーイは Me, too. といったん同調してみせ、チャンドラーの Yeah? にすぐ No! と返して、最高の一日だったと明かします。同調と見せて逆を言う返しで、謝る流れがここで冗談に切り替わります。
the best day ever は「今までで最高の日」という強調の言い方です。謝る側の一言と、それを受ける側の返しを並べると、気まずさのあとの会話の流れがつかみやすくなります。
まとめ|言いすぎたあとの英語
皮肉で前言を取り消す I was wrong、連れを責める You’ve embarrassed me enough for one day、謝ったあとに添える If it makes you feel any better を見てきました。気まずくなったあとの切り出し方の手がかりになります。
チャンドラーとジョーイのロンドンでのやりとりを観ながら、言い合いと仲直りの英語を楽しんでいきましょう。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事では、式場の件やロンドン観光の場面の英語も扱っています。


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