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『フレンズ』シーズン5第22話では、フィービーがロスに腹を立てているのに、その理由を本人に言おうとしません。ロスは理由を尋ね、とりあえず謝り、思い当たることを挙げていきますが、話はなかなか前に進みません。
怒っている相手に理由を聞いても答えてもらえないとき、英語ではどんな言葉が行き交うのか。聞く側と言わない側の両方の言い方を見ていきます。
「push my buttons」怒っていると打ち明けても、理由は話さない
モニカとレイチェルの部屋で、ロスが先に出かけたあと、フィービーは残っていたチャンドラーとモニカに向かって話し始めます。
Phoebe: I didn’t mean to be so “out there” but I am furious with him.
(あんなにあからさまにするつもりはなかったんだけど、彼にすごく腹が立ってるの。)
Chandler: Wow. Um, calm down?
(わあ。えっと、落ち着けよ?)
Phoebe: I’m trying. But, man, that guy can push my buttons!
(努力してる。でもほんと、あの人って私の神経を逆なでするのよ!)
Monica: Why are you so mad at him?
(どうしてそんなに怒ってるの?)
Phoebe: Look, I don’t wanna talk about it, okay?
(ねえ、その話はしたくないの、いい?)
Monica: Well, it just seems like–
(でも、なんだか……)
Phoebe: You want to be on my list too? Keep talking.
(あなたもリストに載りたい?なら続けて。)
Friends Season5 Episode22(The One with Joey’s Big Break)
furious with ~ は「〜に激怒している」で、怒りの度合いが強い言い方です。モニカが使う mad at ~ は、会話で広く使われる「〜に怒っている」の形です。push my buttons は、相手が自分の弱いところを突いてきて、つい怒らされてしまうことを表します。チャンドラーの calm down? は「落ち着いて」と相手をなだめる一言です。それに対するフィービーの I’m trying. は「そうしようとしている」と返す短い一言です。
理由を聞かれたフィービーは、I don’t wanna talk about it と話を打ち切ります。それでも続けようとするモニカには「あなたもリストに載りたい?」と返します。このリストは、ロスの名前が書かれた紙だとフィービー自身が説明していて、冗談まじりに話を止める一言になっています。
「If you don’t know, I can’t help you」理由を聞いても返ってこない
場面が移り、カフェのセントラルパーク。ジョーイたちの出発のあいさつが終わったあと、ロスはフィービーに呼びかけます。返事がないまま何度か声をかけると、フィービーは見えなかったと答えます。そこでロスは、正面から理由を尋ねます。
Ross: Pheebs, are you, are you mad at me or something? ‘Cause if you are, please, tell me what it is I did.
(フィービー、もしかして、俺に怒ってる?もしそうなら頼む、俺が何をしたのか教えてくれ。)
Phoebe: Well, if you don’t know, I can’t help you.
(まあ、分からないなら、どうしようもないわね。)
Ross: Well, I don’t know.
(いや、分からないんだよ。)
Phoebe: Well, I can’t help you.
(じゃあ、どうしようもないわね。)
Friends Season5 Episode22(The One with Joey’s Big Break)
Are you mad at me or something? の or something は、「怒ってるとか?」と問いをやわらげる働きをしています。tell me what it is I did は「俺がしたのが何なのか」と、した事柄そのものを知りたいと強調する形です。
フィービーの I can’t help you は、本来「手助けできない」という意味です。ここでは「分からないなら教えようがない」と突き放す返事として使われています。ロスが正直に I don’t know. と答えても、同じ言葉が返ってくるだけです。
そこでロスは、理由が分からないまま謝る方向に切り替えます。
Ross: Okay. Well, whatever it is, I’m-I’m very, very sorry. Okay?
(分かった。じゃあ、何にせよ、本当に、本当にごめん。いいか?)
Phoebe: Apology accepted.
(謝罪は受け入れるわ。)
Ross: Okay. So we’re, we’re good?
(よし。じゃあ、俺たち、これで大丈夫だよな?)
Friends Season5 Episode22(The One with Joey’s Big Break)
whatever it is は「それが何であれ」で、理由を特定しないまま謝るときの前置きです。Apology accepted. は「謝罪を受け入れる」という改まった響きの短い返事で、So we’re good? は関係が元どおりになったかを確かめる聞き方です。
「I don’t remember!」本人も理由を覚えていないとき
やりとりはまだ続き、フィービーの口から思いがけない答えが出ます。
Phoebe: I don’t know! I don’t remember!
(分からない!覚えてないの!)
Ross: Well, if you can’t remember, can’t we just forget about this?
(なあ、覚えてないなら、もう忘れることにできないか?)
Phoebe: Oh, no. I am mad at you. I know that much.
(ううん、だめ。私はあなたに怒ってる。それだけは分かってる。)
Friends Season5 Episode22(The One with Joey’s Big Break)
ロスは remember と forget を並べて、「覚えていないなら忘れよう」と筋の通った頼み方をしています。I know that much. は「それくらいは分かっている」で、理由は覚えていなくても怒っていることだけは確かだと言い切る返しです。その前の Oh, no. は、驚きの声ではなく、ロスの頼みを断る「ううん、だめ」の働きです。
別の場面では、ロスが「髪のジェルがにおうから?」などと思い当たる理由を挙げますが、フィービーの答えは No. です。最後に、モニカとレイチェルの部屋でロスがあらためて理由を聞くと、フィービーは「退屈だと言われた」と答えます。
Ross: When did I say you were boring?
(いつお前が退屈だなんて言った?)
Phoebe: Oh, my God! I remember now! We were playing chess.
(やだ!今思い出した!チェスをしてたのよ。)
Ross: Phoebe, you and I have never played chess.
(フィービー、俺たちはチェスなんてしたことないぞ。)
Friends Season5 Episode22(The One with Joey’s Big Break)
When did I say ~? は「いつ〜なんて言った?」と、身に覚えのないことに反論する聞き方です。フィービーの I remember now! は、前の場面の I don’t remember! と対になる一言で、思い出したのが今だと now で示しています。フィービーはそのときの様子をさらに話したあと、there’s a chance this may have been a dream と、夢だった可能性を認めます。理由を言わなかった相手が、実は夢の中の出来事を理由にしていたという流れです。
まとめ|怒っている理由をめぐる英語
furious with、push my buttons、If you don’t know, I can’t help you、Apology accepted.、I know that much. と、怒っている側と理由を聞く側の言い方を見てきました。聞く・謝る・当てるという順に、言葉の選び方が変わっていきます。
理由が分かるまでの遠回りを追いながら観ると、この回の英語がより身近になります。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、この回の英語がさらに広がって見えてきます。


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