海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
パーティーやバーで、誰かにさりげなく——あるいは露骨に——言い寄られた経験、ありませんか。その「口説く」という行為を、英語ではどう言うのでしょう。
恋愛英会話の定番「hit on」を、『フレンズ』シーズン2第1話、レイチェルが元恋人パオロと寄りを戻したことを、仲間たちが問い詰めるモニカの部屋のシーンから、一緒に見ていきましょう。
「hit on someone」の意味とニュアンス
hit on someone
意味:(人に)言い寄る、口説く、ナンパする
「hit on someone」は、恋愛や性的な関心を持って、誰かに積極的にアプローチすることを表す口語表現です。バーで見知らぬ相手に声をかける「ナンパ」から、パーティーで気になる人に近づく行為まで、幅広くカバーします。
「hit(打つ・当てる)」に「on(~に向けて)」がついた句動詞で、「相手に狙いを定めてアプローチを仕掛ける」というイメージです。多くの場合、軽いナンパから下心のある接近までを指し、必ずしも好意的とは限らない響きを持つこともあります。誰が誰に対して使うかによって、遊び半分の軽口にも、迷惑な接近にもなり得る、文脈に敏感な表現です。なお、発音や見た目が似た「hit it off(意気投合する)」とはまったく別の意味なので、混同に注意が必要です。
【ここがポイント!】
- 「hit on」は「相手に狙いを定めて恋愛アプローチを仕掛ける」イメージ
- 軽いナンパから下心のある接近まで幅広く、文脈で温度が変わる表現
- 「hit it off(意気投合する)」とは別物、混同しないのが使いこなしのコツ
『フレンズ』S02E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
失恋の寂しさから、レイチェルは以前フィービーに言い寄って別れた元恋人パオロと、よりを戻してしまいます。それを知った仲間が、彼女を問い詰めます。チャンドラーが突きつけるのは、そもそもの別れた理由でした。
Chandler: And the fact that you dumped him ‘cause he hit on Phoebe?
(それに、彼がフィービーに言い寄ったから振ったって事実は?)Rachel: Oh, God, I know. I’m pathetic. I know I’m pathetic.
(ああ、分かってる。私、情けないわよね。自分でも分かってるってば)Friends Season2 Episode1(The One with Ross’s New Girlfriend)
シーン解説と心理考察
チャンドラーの指摘は完全に正論で、レイチェルも「自分でも情けないと分かっている」と認めるしかない様子が伝わってきます。失恋の寂しさから、かつて自分を裏切った相手に戻ってしまう——その弱さを仲間に見透かされる気まずさがにじむ場面です。ここで使われる「hit on」は、パオロというキャラクターの「軽さ」を一言で言い表しています。フィービーに言い寄った過去がある男に、それでも戻ってしまうレイチェルの心の揺れが、この短いやり取りに凝縮されています。友人だからこそ遠慮なく本当のことを言うチャンドラーの距離感も、フレンズらしい温度として響きます。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
「hit on」は、ダーツの矢が的の相手に「コツン」と当たる映像で覚えるのがおすすめです。hit(当てる)+ on(~に向けて)で、「狙いを定めた相手に、恋愛のアプローチという矢を放つ」という動きが浮かびます。
このシーンで話題になるのは、軽いキャラのパオロがフィービーに矢を放った(=言い寄った)こと。恋愛で「相手に当てにいく=口説く」とイメージを結んでおくと、hit の意外な意味がすっと定着します。よく似た「hit it off(意気投合する)」は「二人の相性がカチッと噛み合う」別の映像なので、あわせて区別しておくと混同しません。
例文で覚える「hit on someone」
恋愛の場面で頻出する「hit on」。3つの例文で、その使い方を見ていきましょう。
Some guy hit on me at the bar last night.
(昨日の夜、バーで男に言い寄られたの)
友人に出来事を話す場面です。「hit on + 人」で、誰かにアプローチされた状況を伝える、最も典型的な使い方です。
It’s not really appropriate to hit on your coworkers.
(同僚を口説くのは、あまり適切じゃないよ)
職場のマナーを話題にする場面です。文脈によっては社会的にネガティブな含みを持つことも示しています。
A: I think that guy was hitting on you.
B: Really? I thought he was just being friendly.
(A:あの人、君に言い寄ってたと思うよ)
(B:ほんと? ただ親切なだけかと思ってた)
友人の勘違いを指摘する会話です。進行形「was hitting on」で、その場で進行していたアプローチを描写できます。
あわせて覚えたい関連表現
come on to someone
(露骨に言い寄る、迫る)
「hit on」とほぼ同義ですが、より積極的・露骨な接近を示すことが多い表現です。強めのアプローチを表したいときに使えます。
flirt with someone
(思わせぶりな態度をとる、いちゃつく)
「hit on」が「アプローチを仕掛ける」行為寄りなのに対し、「flirt」は「軽く戯れる・思わせぶりにする」態度を指します。必ずしも本気で口説くわけではない点が違います。
make a pass at someone
(言い寄る、モーションをかける)
一度の具体的なアプローチ行為を指す表現です。継続的な口説き行為にも使える「hit on」より、ピンポイントな行動を表します。
Note|hit on と flirt、踏み込み度の違い
「hit on」と似た表現に「flirt」があります。どちらも恋愛の場面で使われますが、その「踏み込み度」には、はっきりした違いがあります。
「flirt with someone」は、思わせぶりな視線を送ったり、軽い冗談で相手をからかったりする「戯れ」の段階を指します。必ずしも本気で交際を求めているわけではなく、その場の雰囲気を楽しむニュアンスも含みます。一方の「hit on someone」は、もう一歩踏み込んで、はっきりと恋愛的なアプローチを「仕掛ける」段階です。相手に「これは口説かれている」と伝わる程度の積極性があります。たとえば、パーティーで目が合って微笑みかけるのが flirt なら、実際に近づいて連絡先を聞くのが hit on、というイメージです。フレンズのシーンでパオロがフィービーに「hit on」したというのも、単に思わせぶりだったのではなく、明確に言い寄ったからこそレイチェルが別れる理由になったわけです。
この二つを区別できると、恋愛にまつわる会話のニュアンスが、ぐっと立体的に読み取れるようになります。
戯れなのか、本気のアプローチなのか——その線引きが二つの表現を分けています。
まとめ|パオロの「軽さ」を一言で表す表現
「hit on someone」は、恋愛的な関心を持って誰かに積極的にアプローチする、「言い寄る・口説く」を表す口語表現です。
このフレーズを知っておくと、恋愛にまつわる会話や、海外ドラマの人間関係の描写が、より正確に読み取れるようになります。「flirt」との踏み込み度の違いや、「hit it off」との混同しやすさも押さえておけば、恋愛英会話の理解が一段深まります。
海外ドラマの恋模様をより鮮明に楽しむために、会話のレパートリーに加えてみてください。


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