海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
契約や報告の場面で、知っている事実をあえて伝えないままにしていいのか、迷った経験はありませんか。
そんなときに出てくる「withhold information」を、『モダンファミリー』シーズン6第5話の後半、不動産業者のフィルが、隣家の売却をめぐる話の流れの中で、妻のクレアを相手に職業上の誓いを口にするシーンから、一緒に見ていきましょう。
「withhold information」の意味とニュアンス
withhold information
意味:情報を伏せる、必要な情報を出さないでおく
withhold informationは、知っている情報を意図的に相手に渡さないでおくことを表す、やや硬めの言い方です。withholdは「差し控える、与えないでおく」という意味の動詞で、informationは「情報」です。手元に持っているものを、あえて出さずにとどめておく、という感覚が土台にあります。
うっかり伝え忘れたときではなく、伝えられるのに出さないでおくという意図が入る点が、この表現の特徴です。そのため、契約、報告、説明のように、相手に伝える義務や責任がある場面で、「情報を隠している」と指摘するときに使う言い方になります。
日常会話で使うなら、keep something from someone(人に〜を知らせないでおく)のようなやわらかい言い方のほうが合う場面も多く、withholdは、ビジネスや法律に関わる場面に向いた語です。
withholdの目的語にはinformationのほか、payment(支払い)やpermission(許可)なども置けます。「渡すべきものを渡さずにおく」という中心のイメージが共通しています。
動詞のwithholdは、相手に対して何かを出さない、という向きを持った動詞なので、後ろにfrom someoneを続けて、誰に対して伏せるのかを示す形でも使えます。
【ここがポイント!】
- 「withhold information」の核は、知っている情報を意図的に出さないでおくこと
- うっかり伝え忘れたのではなく、意図して出さないことを表す点が特徴
- ビジネスや契約の場面に合う、やや硬めの言い方
『モダンファミリー』S06E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルは、隣人ジェリーの家の売却を手がける不動産業者です。売り手に届いた申し出をどう扱うか、という話が出たあとで、フィルが不動産業者としての誓いを持ち出し、クレアとやり取りする場面です。
Phil: Withholding information would be a violation of the realtor’s oath.
(情報を伏せるのは、不動産業者の誓いに違反するんだ。)Claire: Which you wrote.
(その誓い、あなたが書いたものでしょ。)Phil: Well, I also wrote my own wedding vows. I guess I should break those, too?
(まあ、結婚の誓いの言葉も自分で書いたけどな。そっちも破っていいのか?)Claire: Phil.
(フィル。)Phil: What am I saying? I’ll never send you to bed without a hug.
(俺は何を言ってるんだ。君をハグなしで寝かせるなんて、絶対にしないよ。)Modern Family Season6 Episode5 (Won’t You Be Our Neighbor)
シーン解説と心理考察
フィルは、「情報を伏せるのは不動産業者の誓いに違反する」と、きっぱり言い切ります。仕事上の原則を守るという姿勢が、Withholdingという硬い語の選び方にも表れています。
そこにクレアが、その誓いを書いたのはフィル自身だと短く指摘します。フィルはそれを受けて、結婚の誓いの言葉も自分で書いたと話を広げ、そっちも破っていいのかと続けます。誓いという言葉でつながった連想が、仕事の話から結婚の話へ切り替わっていきます。
クレアが「フィル。」と名前を一言だけ呼ぶと、フィルは「俺は何を言ってるんだ」と我に返り、「君をハグなしで寝かせるなんて、絶対にしない」と言い直します。名前を呼ぶだけで会話の向きが変わるところに、2人の夫婦としての距離感がにじんでいます。職業上の原則としてのwithhold informationが、最後は夫婦の愛情表現に収まっていく展開です。硬い言葉で始まった会話が、軽い冗談と短い呼びかけをはさんで、やわらかい一言に着地する流れも見どころです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
手のひらに大事なものを握っていて、相手に差し出さないまま、ぎゅっと握りしめている様子を目に浮かべてください。持っているのに渡さない、その握った手が、withholdのイメージです。中身がinformation(情報)なら、withhold informationになります。
フィルの「情報を伏せるのは、不動産業者の誓いに違反する」という言葉も、握った手を開いて、持っているものをすべて相手に見せる姿勢が仕事の約束だ、と重ねられます。握りしめたままにしないことが、フィルの言う誓いの中身と読み取れます。握った手と、開いた手を思い浮かべて覚えておくと、意味が頭に残ります。手の中に握ったものが「情報」なら、開いて見せないかぎりwithhold informationの状態が続く、と考えると、伝える責任がある場面で使う言葉だという感覚もつかめます。
例文で覚える「withhold information」
意図的に出さないでおくことを表すwithhold informationを、3つの例文で確認していきましょう。
The company was accused of withholding information from its customers.
(その会社は、顧客に情報を伏せていたと非難された。)
ビジネスのニュースで、伝える責任がある側が情報を出さなかった場面です。accused ofのあとに動名詞のwithholdingを置く形にも注目です。
Withholding information from your teammates only creates distrust.
(チームの仲間に情報を伏せておくと、不信感を生むだけだ。)
職場で、情報共有の大切さを語る場面です。フィルの発言と同じく、動名詞を主語にした形になっています。
A: Did the team share the results with you?
B: No, they withheld information until the final report.
(A:チームは、結果をきみに共有してくれた?)
(B:ううん、最終報告まで情報を伏せていたんだ。)
仕事の進み方を同僚に話す会話です。untilで期間を添えると、いつまで伏せていたのかが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
keep something from someone
(人に〜を知らせないでおく)
keep something from someoneは日常会話で使いやすい言い方です。withhold informationがビジネスや法律の場面に合う、やや硬い言い方なのに対し、こちらは友人同士の会話にもなじみます。
hold back
(情報や気持ちなどを出さずにおく)
hold backは情報だけでなく、感情や力、努力にも使えます。withhold informationは対象が「情報」に限られる点が違いです。
conceal
(事実などを隠す)
concealは積極的に覆い隠すニュアンスが強い語です。withhold informationは、出さないでおくことに重点があります。
Note|動名詞を主語にする Withholding information の形
フィルの発言はWithholding information would be …と、動名詞で始まっています。文の主語を「〜すること」にする形を、ここで確認しておきましょう。
動名詞は、動詞に-ingを付けて名詞のように扱う形です。Withholding informationで「情報を伏せること」というひとまとまりの名詞になり、そのあとのwould be a violation of the realtor’s oath(不動産業者の誓いへの違反になる)が述語です。同じ意味は、to不定詞を使ってTo withhold information would be a violation of the realtor’s oath.と作ることもできますし、形式主語のitを使ってIt would be a violation of the realtor’s oath to withhold information.と言い換えることもできます。動名詞を主語にすると、伏せるという行為そのものを、一般的な事柄として言い切る形になります。また、would beは「〜ということになる」という控えめな断定を添える言い回しです。
今回のフィルの一言は、動名詞を主語にして、行為そのものを違反だと言い切る形でした。文頭にWithholdingが来るので、何が問題なのかが最初に伝わります。
主語を作る形を3つ知っておけば、同じ内容を場面に合わせて言い分けられます。文頭を軽くしたいときは形式主語のitを使った形、行為そのものをはっきり言い切りたいときは動名詞を主語にした形、と使い分けてみるのもひとつの方法です。自分の言いたい内容に合わせて、3つの形を入れ替えながら短い英文を作ってみると、感覚が身につきます。
まとめ|握りしめた情報を、相手に渡す誓い
withhold informationは、知っている情報を意図的に出さないでおくことを表す、やや硬めの表現です。うっかり忘れたのではなく、伝えられるのに出さない、という意図がこの語の中心にあります。
契約や報告のように、伝える責任がある場面で使える一言です。動名詞を主語にしたWithholding information would be …の形も、一緒に覚えておくと便利です。
フィルが職業上の誓いを口にしたあと、夫婦の会話へと転がっていく様子には、仕事と家庭が地続きになった、この家族らしい空気がありました。契約や報告のように責任が伴う場面で、この言い方を使ってください。


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