海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
身近な人の話を聞いているうちに、「あれ、それって本当のことなのかな」と、ふと引っかかってしまう瞬間が、ドラマには時々あります。
そんな場面で出てくる「make up a story」を、『モダンファミリー』シーズン6第9話の後半、クレアがフィルに、娘のアレックスの話をどこまで信じてよいのか疑いを口にするセリフから、一緒に見ていきましょう。
「make up a story」の意味とニュアンス
make up a story
意味:作り話をする、話をでっち上げる
make up a story は、事実にない話を作って話すときの表現です。make up には「作り上げる」という意味があり、story は「話」です。組み合わせて、「話をこしらえる」から「でっち上げる」の意味になります。
作る対象は、story に限りません。make up an excuse なら「言い訳をでっち上げる」、make up a name なら「名前をでっち上げる」です。つまり、make up は、事実ではないものを頭の中で作り出す動きを表します。
悪意のある嘘だけでなく、子どもが空想で作る話にも使えます。文脈によって、たしなめる調子にも、微笑ましい調子にもなります。
形にも幅があります。make up a story のように目的語を後ろに置く形のほか、make it up と代名詞を間に入れる形もあります。作中のセリフでは、what else she’s making up のように、疑問詞の what else が前に出て、making up の目的語になっています。この場合、story という語は出てきませんが、「作り話」の意味は同じです。
【ここがポイント!】
- 「make up a story」の核は、事実にない話を頭の中で作り上げる動き
- make up an excuse のように、話以外の対象にも使える
- 目的語が疑問詞で前に出ても、意味は変わらない
『モダンファミリー』S06E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
クレアとフィルが、娘のアレックスをめぐって話す場面です。フィルは、大学時代の知り合いの話を引き合いに出します。それに続けて、クレアが疑いを口にし、フィルも同意していきます。making up が使われる一言と、そのあとの2人の会話の流れに注目です。
Phil: That’s terrifying. Like this guy I knew in college. He was always telling me about these “crazy parties” that were “full of women.” But when I’d ask him where they were, he’d give me a fake address.
(それは怖いな。大学時代に知ってたやつみたいだ。「女の子だらけのめちゃくちゃなパーティー」の話ばかりしてたのに、場所を聞くとでたらめな住所を教えてくるんだ。)Claire: Makes me wonder what else she’s making up. I have never met that girl she tutors in math.
(あの子、ほかにも何か作り話をしてるんじゃないかって思えてくるわ。あの子が数学を教えてるっていう女の子にも、私は一度も会ったことがないのよ。)Phil: Esther Choi? Me neither.
(エスター・チョイ? 俺もないよ。)Claire: Because she doesn’t exist! There is not an Esther Choi on earth who needs math tutoring.
(だって存在しないからよ! 数学の家庭教師が必要なエスター・チョイなんて、この世にいないの。)Modern Family Season6 Episode9 (Strangers in the Night)
シーン解説と心理考察
フィルは「それは怖いな」と口にしたあと、大学時代の知り合いの話を持ち出します。パーティーの話ばかりしていたのに、場所を聞くとでたらめな住所を教えてきた、という内容です。話が本当かどうかを確かめようとすると、確かめられない形になる、という点が共通した筋になっています。
この例え話を受けて、クレアは「ほかにも何か作り話をしてるんじゃないかって思えてくる」と続けます。making up は、話をでっち上げる、という意味でここに置かれています。クレアの言い方は「している」と断定するのではなく、「思えてくる」という疑いの形になっている点が特徴的です。
そこで挙げられるのが、娘が数学を教えているという女の子です。クレアは「一度も会ったことがない」と言い、フィルも「エスター・チョイ? 俺もないよ」と短く同意します。名前をそのまま繰り返す言い方には、2人とも会ったことがない相手だという共通点が表れています。
最後にクレアが、「だって存在しないからよ!」と言い切ります。感嘆符のついた強い言い方で、疑いが確信に変わっていく勢いが伝わってきます。ここで語られているのは、あくまでクレアの主張です。両親が、娘の話の他の部分まで疑い始める様子が、短い会話に凝縮されている場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
make up a story は、パズルのピースをひとつずつ組み立てて、ひとつの話に仕上げる絵で覚えてみましょう。元になる絵がなくても、ピースをつなげれば、それらしい話ができあがる。この「組み立てて作り上げる」感覚が、make up の芯にあります。
クレアのセリフの what else she’s making up は、まだ組み立てられているかもしれない別のピースを探すような言い方です。ほかにも何を作っているのか、と、疑いの目が向いています。making up を読むときは、組み立てる手の動きを思い浮かべます。
覚えるときは、ピースを組み立てる手と、できあがった話の絵をセットにします。make が「作る」、up が「作り上げる」方向を示すので、作る動きがそのまま意味になっている、と押さえておくと、忘れにくくなります。
例文で覚える「make up a story」
言い訳や空想の話に使える make up a story を、3つの例文で確認していきましょう。
He made up an excuse to leave the party early.
(彼はパーティーを早く抜けるために、言い訳をでっち上げた。)
友人の言い訳を振り返る場面です。story ではなく excuse を置くと、「言い訳をでっち上げる」という意味になります。
The kids made up a story about a dragon living in the garden.
(子どもたちは、庭に竜が住んでいるという作り話を考え出した。)
子どもの遊びを紹介する場面です。悪意のない空想の話にも、make up a story が使えます。
A: Is that really what happened?
B: No, I made it up.
(A:本当にそんなことがあったの?)
(B:ううん、作り話だよ。)
冗談だったと打ち明ける会話です。it を間に入れた make it up の形で、「作り話をした」を短く表しています。
あわせて覚えたい関連表現
come up with
(思いつく、考え出す)
come up with は、アイデアや案を思いつく意味で、よい案にも使えます。make up a story は、事実にない話を作る意味が中心です。
cook up
(でっち上げる、(計画を)こしらえる)
cook up は口語的で、言い訳や作戦をこしらえる場面で使われます。make up a story は、話そのものを作る意味で、幅広い場面に使えます。
fabricate
(捏造する、でっち上げる)
fabricate は、証拠や事実を偽って作る意味の硬い言い方です。make up a story は、日常会話で使えるやわらかい言い方です。
Note|make up を「化粧する」「仲直りする」と取り違えない見分け方
make up には、いくつかの意味があります。ここでは、目的語や前置詞に着目して、「でっち上げる」の意味を見分ける方法を、構成語の文字どおりの意味と比喩の関係から整理します。
make up の文字どおりの意味は、「作り上げる」です。make が「作る」、up が「作り上げる方向」を表しています。ここから、作り上げるものが何かによって、意味が分かれていきます。
たとえば、作り上げるのが顔や見た目なら、「化粧をする」の意味になります。作り上げるのが関係なら、make up with で「仲直りする」です。そして、作り上げるのが話や言い訳なら、「でっち上げる」になります。
見分けるポイントは、make up の後ろに来る語です。story、excuse、name のように「話」や「名前」が続けば、でっち上げる意味です。with とともに人が続くなら、仲直りの意味になります。
作中のセリフの what else she’s making up は、目的語が疑問詞で前に出ているので、後ろを見ても手がかりが少なく見えます。ただ、前後の流れで、作り話の意味だと読み取れます。
make up を見かけたら、まず後ろの語を確かめてみましょう。
まとめ|作り話をこしらえる、その動きを英語で
make up a story は、事実にない話を作って話すときの表現です。make up の「作り上げる」に、story の「話」が組み合わさって、でっち上げる意味になります。
作る対象が excuse や name に替わっても、同じ意味で使えます。目的語が疑問詞で前に出る形や、make it up の形も押さえておくと、聞き取りにも役立ちます。
クレアが「ほかにも何か作り話をしてるんじゃないか」と疑いを口にし、フィルが同意していくやり取りは、この表現が生まれる空気をよく伝える一場面でした。話の真偽が気になったときの一言として、覚えておくと重宝します。


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