海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手を一瞬だけ本気にさせて、あとから種明かしをする、そんな小さないたずらを仕掛けたり、仕掛けられたりした経験はありませんか。
そんな場面で使える「fake-out」を、『フレンズ』シーズン6第20話の後半、ジョーイに一杯食わされたチャンドラーが、その仕掛けを責める場面から、一緒に見ていきましょう。
「fake-out」の意味とニュアンス
fake-out
意味:(相手をだますための)フェイント、ひっかけ
fake-out は、相手にあることを見せかけて、別の反応を引き出す動きや仕掛けを指す名詞です。fake は「偽の」、out は「外へ」を表す語で、動詞の fake out(fake someone out=人をだます)の形から生まれた名詞の言い方です。
スポーツでは、右へ動くと見せかけて左へ抜けるようなフェイントを指します。日常の会話では、一度本気にさせてから外す、ちょっとしたいたずらや、ひっかけを表します。悪意のある詐欺というより、種明かしのある軽いだましが中心です。
作中の that fake-out thing の thing は、「ああいうやつ」とまとめて指す働きをします。特定の一つの出来事ではなく、「ああいうひっかけ」という種類として言っているので、直前の出来事をきっかけに、一般的な言い方で不満を述べる形になっています。
表記の面では、名詞は fake-out とハイフンでつないで書きます。動詞の場合は fake out と離して書き、人を目的語に入れる形は fake someone out です。
【ここがポイント!】
- 「fake-out」の核は、見せかけの動きで相手の反応を引き出すフェイントやひっかけ
- 日常では、一度信じさせてから外す、種明かしのある軽いだましに使う
- 動詞は fake out(fake someone out)、名詞はハイフンつきの fake-out
『フレンズ』S06E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジョーイのオーディションの知らせを、チャンドラーが伝え損ねたところから、この場面は始まっています。チャンドラーは詫びを言い、ジョーイは「お祝いを言ってもいいところだ」と切り出して、実は自分でオーディションに行っていたと明かします。その明かし方に、チャンドラーが反応します。
Chandler: Is that supposed to be funny? I was really worried over here.
(それ、笑わせるつもりか? こっちは本気で心配してたんだぞ。)Joey: Oh, well, I’m sorry.
(ああ、その、悪かったよ。)Chandler: Sometimes that fake-out thing is mean.
(ああいうフェイントを仕掛けるのは、ときどき意地が悪いんだよ。)Joey: Oh, wow, okay, man, I’m sorry. I did not mean to make you feel bad.
(うわ、わかったよ、相棒。悪かった。嫌な思いをさせるつもりはなかったんだ。)Chandler: Well, that’s good… because you didn’t… and I’m incredibly happy for you.
(まあ、それならよかった……だって嫌な思いはしてないから……それに、お前のことはものすごくうれしいよ。)Joey: That’s mean! Had me going there.
(ひでえな! すっかり信じ込まされたぜ。)Chandler: Oh, we could do this all day.
(ああ、これならいつまででもやれるよ。)Friends Season6 Episode20(The One with Mac and C.H.E.E.S.E.)
シーン解説と心理考察
チャンドラーの「Is that supposed to be funny?」は、種明かしを冗談として受け取れないという反応で、「I was really worried over here.」と続けて、自分がどれだけ心配していたかを訴えます。over here は「こちら側で」という意味で、心配していた自分の側と、事情を知っていたジョーイの側を対比させる言い方です。この時点では、チャンドラーは本気で怒っているように見えます。
ジョーイの「Oh, well, I’m sorry.」は、その勢いに押された詫びです。そこへ「Sometimes that fake-out thing is mean.」が重なります。that fake-out thing は、ジョーイが直前にやったこと、つまり、伝言のことで責めるふりをして詫びを言わせ、それからオーディションに行ったと明かした一連の流れを指します。sometimes を付けているので、「あれは、ときどき意地が悪い」と、種類としての不満を述べる言い方です。
ジョーイはもう一度、「I did not mean to make you feel bad.」と詫びます。ここまでは、詫びる側と怒る側の会話です。ところが、次のチャンドラーの一言で、流れが反転します。
「Well, that’s good… because you didn’t… and I’m incredibly happy for you.」は、「嫌な思いはしていない」「お前のことがうれしい」と、ジョーイの詫びを、まるごと受け流す返しです。「……」と区切りながら続ける形で、それまでの怒った調子が、ジョーイをひっかけるための演技だったことが分かります。ジョーイの「That’s mean! Had me going there.」は、そのひっかけに、すっかり引き込まれていたという感想で、had me going は「人を信じ込ませる」という意味です。
ここで面白いのは、mean という言葉の往復です。チャンドラーが「that fake-out thing is mean」と責め、ジョーイが「That’s mean!」と返します。同じ言葉が二人の間で行き来し、ひっかけをひっかけで返す構図になっています。前のほうの場面で、ジョーイがオーディションの出来を「うまくいかなかった」と偽ってから、「だませたか」と仲間に尋ねているように、ひっかけ合いはこの回の軸のひとつです。
最後の「Oh, we could do this all day.」は、こうしただまし合いなら、いつまでも続けられるという意味の、余裕のある一言です。責める側だったはずのチャンドラーが、実は仕掛ける側に回っていたことが、この一言で明らかになります。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
右へ動くと見せかけて、左へ抜ける動きを思い浮かべてみましょう。fake(偽の)動きで、相手の反応を外(out)へ誘い出す。その動きが、日常の「ひっかけ」という意味につながっています。
チャンドラーとジョーイのやり取りも、この動きの応酬でした。ジョーイが、責めるふりで詫びを言わせ、チャンドラーが、怒るふりでジョーイを本気にさせる。動きの向きが二度入れ替わる構図が、fake-out という言葉のイメージに、ぴったり重なります。
fake と out を分けて覚える方法もあります。偽物の動きで、相手の反応を外へ引き出す、と読み替えれば、ハイフンでつながった名詞の形も、頭に残りやすくなります。
例文で覚える「fake-out」
スポーツの場面でも、日常のいたずらでも、この表現は同じ形で使えます。3つの例文で確認していきましょう。
He tried a fake-out, but the defender didn’t fall for it.
(彼はフェイントを仕掛けたが、守備の選手はひっかからなかった。)
スポーツの場面を説明する例文です。fall for it は「それにひっかかる」という意味で、fake-out とセットで使うと、仕掛けが通用したかどうかを言い表せます。
A: Wait, you were joking the whole time?
B: Yeah, it was a total fake-out.
(A:ちょっと、ずっと冗談だったの?)
(B:そうだよ、完全なひっかけだったんだ。)
種明かしをする場面の会話です。a total fake-out のように、total を添えると、「完全にだました」という強調になります。
The fake-out at the end of the movie caught me off guard.
(映画の最後のひっかけに、不意をつかれた。)
映画の展開を話す場面です。作品の中の、見せかけの展開を指す使い方で、caught me off guard(不意をつかれた)と組み合わせると、驚きを表せます。
あわせて覚えたい関連表現
prank
(いたずら)
仕掛けたあとに笑わせるいたずら全般を指します。fake-out は、相手に一度信じさせて外す動きに重点があり、prank は、笑わせる目的のいたずら全体を指します。
bluff
(はったり)
自分の手の内を偽って、相手を動かすことを表します。fake-out は、見せかけの動きで反応を引き出す点が異なります。
feint
(見せかけの攻撃、フェイント)
主に、攻撃や動作の見せかけを指し、スポーツや戦いの場面で使います。fake-out は、日常のだましにも使える点が違います。
Note|fake-out・prank・bluff・feint は、何を見せかけて何を引き出すかが違う
fake-out と近い意味の語には、prank、bluff、feint があります。どれも「だます」動きを表しますが、何を見せかけ、何を引き出したいのかが、少しずつ違います。
fake-out は、見せかけの動きや言葉で、相手に特定の反応をさせる仕掛けです。ひっかかった相手が「えっ」と反応することが目的の中心にあります。prank は、笑わせるための、いたずら全般です。仕掛けたあと、相手が驚き、周りが笑うところまでが、prank の範囲です。
bluff は、自分の持っているものや、これからやることを偽って、相手の行動を変えさせるはったりです。手札が弱いのに強く見せるような場面が、代表例です。feint は、攻撃するふりをして相手を動かす、見せかけの動作で、スポーツや戦いの場面で使うことが多い語です。
チャンドラーとジョーイのやり取りに当てはめると、ジョーイが責めるふりで詫びを言わせたのは fake-out で、その流れ全体を笑い話として見れば prank です。チャンドラーが怒ったふりでジョーイを本気にさせたのも fake-out にあたります。
どれも「だます」動きですが、見せかけるもの、引き出したい反応、笑いを目的とするかどうかで、言葉が選べます。
まとめ|ひっかけをひっかけで返す、二重のフェイント
fake-out は、相手に何かを見せかけて、別の反応を引き出すフェイントやひっかけを指す名詞です。動詞の fake out(fake someone out)から生まれた言い方で、スポーツの動きにも、日常の軽いいたずらにも使えます。
that fake-out thing のように thing を添えれば、「ああいうひっかけ」と、種類として不満を述べられます。prank は笑わせるためのいたずら、bluff ははったり、feint は攻撃の見せかけと、近い語とは、見せかけるものと引き出したい反応で使い分けられます。
伝言を伝え損ねたチャンドラーが、責めるふりをしたジョーイに、怒るふりでひっかけ返す様子には、mean という言葉が二人の間を行き来する、二重のフェイントの面白さが表れていました。誰かにひっかけられた場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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